(※写真はイメージです/PIXTA)

舌癌、口腔底癌、中咽頭癌、鼻腔癌、外耳道(側頭骨)癌などは、「唯一肉眼で見えうる癌」と言われています。これまで20年以上に渡り人々の耳を見続け、海外でも診療をしてきた馬車道木村耳鼻咽喉科クリニック院長・木村至信医師に、実際に耳鼻咽喉科で見つかった癌の病例、また経済的側面から見た「癌」について解説いただきます。

鼻腔癌ステージ4。鼻涙管を経て転移し体外に出てきた末期癌でした。できる治療はもうありませんが、その日のうちに基幹病院へ紹介状を書きました。破裂した部分を覆っているガーゼを外す前から、癌臭がしていました。

 

耳鼻科の癌は舌癌、口腔底癌、中咽頭癌、鼻腔癌、外耳道(側頭骨)癌などで、外に出てくるので肉眼で見られます。「癌の顔つき」とよく私たちは言いますが、良性のポリープのようにツルツルではなく、ゴツゴツしたり、出血したりしています。そして何より癌臭というのは、かなりひどい匂いがします。癌を多く見てきた医師なら、この匂いで気づくはずなのです。

 

どんなにポリープが小さくても、ご自身で今までにないひどい匂いがしたら、迷わず医師を受診してください。最初は抗生剤投与かもしれないですが、それでも改善がなければ外来で組織を取り病理検査をする、ここまではしていただいた方が良いと思います。抗生剤だけをずっと投与される状況でしたら、セカンドオピニオンやちゃんと納得いくまで医者を探したりするのも、患者さんの権利なのです。

癌を1秒でも早く見つけるために。現役医師の提言

私も含め、医師は人間です。私ももしかしたら、大事な所見を見落としていることもあるかもしれません。ですから、患者さん自身で「おかしいな?」ということが続くようなら、医師を変えて、目線を広げて、あなたの体を守っていただきたいのです。

 

自分が、医師が、不完全なものだと自覚しての提言です。不完全なものだと自覚すれば、より自分のリスクマネジメントができます。こうして四方八方から、かけがえのないあなたを守り、あなたが今以上の社会的地位で働き、稼ぎ、食べて、遊んで、暮らしていくことを維持していく。これが私の思う医師の社会貢献、あるべき立ち位置だと思っています。

 

偉そうなこと言っても、8割近くは国のお金で賄われる日本の医療、私たちは税金でお仕事をさせていただいているのです。癌が治っても、生活も仕事もガタガタになってしまった……これでは残念すぎます。あなたの癌を1秒でも早く見つける努力。あなたが描いていた人生を全うできるように、癌で失う人生が減ることを祈って。私も頑張らなければいけないと、書きながら思っています。

 

 

木村 至信

馬車道木村耳鼻咽喉科クリニック 院長

 

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