感情を爆発させて喚き散らしていた
▶「辛いこと」辛いことを溜め込む/重要度★★★☆☆
「カルシウム、不足、していませんか?」
これはかつて1990年代後半に読売巨人軍に所属したバルビーノ・ガルベス投手の出演した牛乳のCMのフレーズです。このガルベス氏は能力こそピカイチでしたが、短気で有名で、安定して実力を発揮できない選手でした。
際どい判定をストライクにしない審判にイライラして集中力を乱し、その結果打ち込まれて降板するときに審判に向かってボールを投げつけるという行為をして大問題になったことがあるくらいです。
これは決して笑い事ではありません。なぜなら受験生の中にも隠れガルベスは大勢いるからです。表面化する問題までは至らなくとも、ストレスからノートやレジュメを破いたり、文房具を破壊したりした経験はあるのではないでしょうか?
かく言う私も実はもともと自制がきかない人間で、恥ずかしながらゲームのコントローラーや携帯電話を投げて破壊したことがあります。電柱を殴って手が腫れてしまったこともありました。
このような感情の制御ができない人間であった私が京都大学や同志社大学の学生と初めて接点を持ったとき、彼らとの人間的な器の違いを感じてしまい落ち込んだのですが、その1つが心の余裕の差でした。
きっと彼らは私が毎日夜中までテレビゲームをしていた時期を、欲望を抑えて勉強してきたはずです。自制をして積み重ね入試を突破したという自信が、単に教養面だけではなく、柔らかい雰囲気にも表れていました。
私は溜め込むたびにすぐ、感情を爆発させて喚き散らす余裕のない人間でしたが、彼らなら決して同じことはしないであろうことが容易に想像できました。
今、私はその挫折から10年以上勉強を積み重ねてきましたが、少しは彼らのように感情を抑えることができる人間になれたのかもしれないと思います。でもそれは、成功体験を得て、同じような余裕のある人たちに囲まれている複合的な要因も作用しているからであるとも思います。
受験期間は常に余裕がなく、ずっとイライラしていました。積み重ねてきた過程も、目に見える結果も、両方あってそうした人間になれてきているのだと思います。
毎日勉強を積み重ねることは並大抵の精神力では不可能です。なかなか成績が伸びないとき、模試の結果が悪かったときなど、精神的に落ち込んだときはどこかで吐き出す時間が必要になるはずだと思います。
私は辛い浪人期間を送る中で、家庭教師をしてくれている6歳年下の学生や、予備校の職員さんによく愚痴を聞いてもらっていました。たったそれだけのことで、敵だらけだと思い集中できなかった気分が、一時的にとてもスッキリしたのを覚えています。
スポーツと同様に、受験で安定して力を発揮するには自制能力は必須です。こうした非認知能力は受験勉強をする中で身についていきますが、同時にコントロールもするのは至難の業です。
周囲に聞いてくれる人がいたら、我慢せずぶちまけましょう。それを「我慢しろ」、「お前が悪い」と返す人など、よほどのことがない限りいないと思いますし、いたら距離を置きましょう。
現役生は狭いコミュニティで同じ人と毎日顔を合わせるので、距離を置くという選択ができませんよね。
でも、いい大学に行こうとするほど、そうした相手の立場に立って物事を考えようとしない人は少なくなるので安心してください。嫌な人間から離れることも勉強のモチベーションにしていきましょう。