(画像はイメージです/PIXTA)

香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。

米ドルとの金利差拡大で再び米ドル高・アジア通貨安に

14日のアジア株式市場は米株安を受けて全面安の様相となった。

 

香港ハンセン指数も寄り付き後、下げ幅を拡大し前日比2.48%安と終値ベースで3月15日以来、半年ぶりの安値を付けた。同指数はここ数日の上げ幅を帳消しにし、香港株式市場は一転して弱気に転じた格好となった。

 

米金利高を受けて香港ドルの指標金利であるHIBORレートは軒並み上昇。1ヵ月HIBORは4営業日続けて上昇し、2.09%と約2年半ぶりの高水準を付けた。

 

中国主要銘柄も、米株の下げに引っ張られて大きく下げた。インターネット検索の百度(9888)は5.6%安、Eコマース大手のアリババ(9988)は4.4%安、京東集団(9618)は4.1%安、スマートフォンの小米集団(1810)は3.3%安となった。

 

ハイテク株で構成されるハンセンテック指数は前日比2.85%安と9月に付けた安値を割り込み今年5月以来、約4ヵ月ぶりの安値となった。半導体ファウンドリーの華虹半導体(1347)は5.7%安、インターネット保険の衆安在線財産保険(6060)は5.6%安、動画配信のビリビリ(9626)は5.1%安だった。

 

本土株式市場は上海総合指数は前日比0.80%安の3,237.54  、CSI300指数は同1.11%安と両指数は3日ぶりの反落となった。

 

米利上げ加速が懸念されたほか、人民元安も再び進行。人民元は対ドルベースで一時6.98元台と節目の7.00元に近づいた。

 

中国人民銀行は14日、人民元の中心レートを1ドル=6.9116元に設定、元高方向での予想との乖離は過去最大と当局は通貨防衛姿勢を強めるも、現値水準から大きく離れる内容となった。米ドル金利との金利差拡大により、為替相場では、米ドル高・アジア通貨安がぶり返す形が再び見られた。

 

CPIの落ち着きに期待が強かった分、想定外の指標に落胆も相まって、市場は大きくリスクオフに傾いたが、やや行き過ぎの感はある。米国をはじめ、世界的に、インフレ率は急速に落ち着く状況ではない。金利水準が切りあがることを念頭に、相場観を組み立て直すときであろう。

 

リセッションシナリオに疑問を感じているのはまだ少数派ではあるが、米国経済が案外腰が強いことも、CPIは示唆しているのである。
 

 

長谷川 建一

Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>

 

 

 

 

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