欧米では子どもの頃から少額で投資をスタート
アメリカをはじめとする欧米諸国の中には、小さい子どもに株式投資を教えているところもあります。一方で、日本人の多くは、子どもの頃はもちろん、大人になっても株式投資について学ぶ機会がありません。そこで「株式投資とは何か」について、あらためて考えてみましょう。
そもそも株式とは「株式会社が資金を出資してくれた人に対して発行する証券」のことです。また、証券とは、財産法上の権利や義務が記載された紙のことです。もっとも現在は、そのほとんどが電子化されているため、実際に株券を手にしたことがある人は少数でしょう。
さて、そのような株式を会社が発行する理由は、事業を行うための資金が必要だからです。事業を行うには、事務所費や人件費、その他の雑費など、さまざまなお金が要ります。それを集めるために、株式を発行して売ることで、資金を得ているのです。
もちろん、自分の資産を使ったり、銀行などの金融機関から融資を受けたりする方法もあるのですが、それだけでは十分に資金を得られない可能性があります。また、その事業を保有したり携わったりする仕組みとして、株式の発行が便利だと考えられたのです。
株式会社の歴史は古く、1602年に設立されたオランダ東インド会社が起源とされています。当時、航海には多大なリスクがあり、場合によっては生きて帰ってこられないこともありました。まさに命がけの冒険です。
その冒険によって得られるもの(食料、資源、大陸発見など)は非常に大きいのですが、自分たちだけで航海の資金を準備するとなると、やはり限界があります。そこで、株式によって小口の資金を集め、造船や貿易などの事業が行われるようになりました。
その後、イギリスやアメリカで経済や金融の仕組みが発達・発展していくにつれて、株式はその中心となっていきました。そうした文化的な背景もあり、欧米では子どものうちから株や債券を購入するなど、投資をスタートするのです。
もっとも、社会人経験がない子どもは、会社や株式の具体的な仕組みなどはわかりません。そこで、よりシンプルに考えて、伸びそうだと思う企業に少額を投じてみるわけです。もちろんその原資は両親からもたらされるのですが、それもまた教育の一環です。
こうした視点を培うことは、あながち安易な方法とはいえません。事実、株式投資は「美人投票」とも表現されています。
著名な経済学者であるケインズは、投資の玄人が行う株式投資を「新聞投票で美人を選ぶような方法」と述べました。その意味するところは、経験者が行う株式投資でも、結局は人気のある銘柄が伸びていく、ということでしょう。
そうなると、選ぶべきなのは個々人の好みではなく、みんなが選びそうなものということになります。つまり株式投資とは、市場に参加している多くの人が値上がりする(成長する)と考えている銘柄を選ぶもの、ということです。
子どものときから「伸びると思う銘柄」を選ぶ習慣は、そのまま大人になっても役立ちます。リスクとリターンを加味しつつ養われた目利き力は、株式だけでなく、さまざまな金融商品の精査につながります。しかも、知識としてだけでなく経験として知っているため、彼らは自然に投資巧者へと成長していきます。