アメリカや欧州と比べて明らかな日本人の貯金好き
世界の国々と比較したとき、私たちがいかにお金や資産運用の面で遅れをとっているのか、記事を通して実感していただければと思います。
「日本人は"最高残高“で亡くなり、欧米人は"最低残高“で亡くなる」という言葉があります。その意味するところは、日本人の多くは生涯稼ぎ続け、闇雲に貯金をした結果、最もお金がある状態で亡くなるケースがよくあるということです。
一方で欧米人やラテン系の人は、「生きているうちに、できるだけ有意義なことにお金を使う」という発想があります。そのため、無駄に貯金を残すことなく、投資をしたりお金を使ったりしながら、幸せな気持ちで亡くなっていくということです。
我慢に我慢を重ねながら、お金を貯めて死ぬ人生と、歌って、踊って、食べて、恋をして、財産を使い果たして死ぬ人生。あなたはどちらが幸せだと思いますか? その答えが、国の経済や成長にも反映しています。
アメリカと比べてみても日本人の貯金好きは明らかです。日本人は金融資産の半分以上(54.3%)を現金・預金で保有していますが、アメリカやユーロエリアでは、それよりはるかに少ない割合です(アメリカ13.3 %、ユーロエリア34.3%)。
つまり、積極的に投資をするアメリカ人と比べると、日本人は4倍も貯金比率が高いのです。世界を見渡してみても、日本人の現金保有率の高さは際立っているといえます。一方で、投資に回されるお金はごくわずかです。
「たくさん貯金をして何が悪いの?」
そう思われる方もいるかもしれません。貯金をすること自体が悪いのではなく、問題は、貯金することを盲信していることにあります。たとえば、次の話を聞いてもまだ、日本円を貯金で持ち続けたいと思うでしょうか。
2017年に金融庁が作成した「各国の家計金融資産の推移」によると、1995年から約20年間の日本の家計金融資産の成長率は1.47倍。アメリカでは3.11倍、イギリスは2.27倍です。つまり、日本の一般家庭での金融資産の増え方は、欧米に比べて約半分程度ということです。日本の家計における金融資産の成長の低さが際立ちます。
真面目な国民性で、将来の心配に備えてコツコツ貯める姿勢が日本人らしくもありますが、それゆえにお金を増やす多くの機会を損失しているのです。その原因は、投資よりも貯金を好む国民性にあるといえます。
[図表1]を見ていただくとわかるように、家計の金融資産の成長は投資による「運用リターン」に紐付いています。つまり、アメリカやイギリスでは投資によって運用リターンを得ているからこそ、家計の金融資産も伸びているのです。
しかもその投資はギャンブルのようなものではありません。税制優遇などの政策対応もあり、バランスのとれたポートフォリオが実現されています。そこに個々人の投資習慣が加わり、金融資産を大きく増加させているのです。
その結果、アメリカでは勤労所得と財産所得の比率が3:1になっています。一方で日本は8:1です。つまり、日本人は労働による収入がメインとなっており、投資による利益が得られていない状況なのです。
こうした状況が続いていけば、私たちはいつまで経ってもあくせく働かなければなりません。