(※写真はイメージです/PIXTA)

世界を見渡してみても、日本人の現金保有率(貯蓄率)の高さは顕著です。日本では義務教育期間中にほとんど金融教育が行われないため、資産運用の知識が乏しい人が少なくありません。では、実際に資産を運用していくのに必要な知識には、どのようなものがあるでしょうか? NIKEのエアマックスを日本に流通させ、1年で約44億円を売り上げた中谷昌文氏が、アメリカにて実践で身につけた資産運用のノウハウを、著書『なぜ大富豪のサイフは空っぽなのか?』(ビジネス社)で、解説します。

チェーンホテルにとって、お客を呼ぶ以上に大切なこと

お金に対する知識と経験が向上するとどうなるのでしょうか。まず、物事の見方が変わります。私たちの身近にあるものでも、金融リテラシーを得たうえで眺めてみると、実にいろいろな工夫がなされているとわかります。

 

たとえば、日本全国に建てられているホテル。その中で、主要都市の駅前を中心にたくさん展開されているチェーンホテルがあります。素朴な疑問として、「なぜあんなにたくさんホテルを建てられるのだろう?」と思うこともあるでしょう。

 

普通に考えれば、「経営者がよほどの資産家なのだろう」「会社が儲かっているのだろう」などの発想になるかと思います。確かにそうした側面もあるかもしれませんが、実際は、金融の仕組みを上手に使っているからなのです。

 

具体的には、ホテル用地の調達や建物の建設に必要なお金は、信用金庫などから低金利で借りています。あらゆる事業がそうであるように、ホテル事業者もまた、金融機関から融資を受けて事業を行っているのです。

 

ポイントは、地元の金融機関を活用しているということ。地元に根づいている金融機関は、地元の発展のために事業を行う事業者を歓迎します。もちろん、融資を申し込んでくれれば銀行業務としてもありがたいわけです。

 

金融機関はお金を貸すことで利子を得る商売である以上、融資はしなければなりません。ただできる限り、実績と経験があり、担保となるような資産(不動産含む)をたくさん持っている人や企業に貸したいと考えるものです。

 

信用金庫などは、実績や経験があって、また担保となる土地と建物(ホテル)を所有している事業者に対し、積極的にお金を貸しています。ホテルチェーンでは、このような金融の仕組みを利用して次々にホテルを建てているのです。

 

これこそ、金融の力といえるのではないでしょうか。必ずしも株式のような「直接金融」を積極的に使わずとも、融資という「間接金融」によって事業を大きくすることは可能です。むしろ、双方を使い分けることが金融の本質といえるかもしれません。

「金融」という切り口から社会を見れば視野が広がる

こうした視点で見ると、ホテル業とは金融をうまく活用した業態であり、かつ不動産業の側面があることがわかります。表向きはどのくらい部屋が埋まったのかを考えますが、会社全体としては次々にホテルを建設し、資産を拡大することが本旨なのかもしれません。

 

金融リテラシーを持つと、このような発想で世の中を見ることができます。お金の仕組みを軸に、「なぜそうなっているのか」「どのような構造になっているのか」がわかるわけです。それはそのまま投資にも活かせます。

 

先に「株式投資は美人投票」という話を紹介しましたが、日常生活でも金融知識を軸にいろいろなものを見て、さまざまな角度から考えていれば、これから伸びる企業や投資をするべき対象も見えてきます。

 

あるいは、資産形成の方法もイメージできるようになります。自らビジネスを立ち上げなくても、年利10%で運用できる投資先を見つけたり、お金に働いてもらう方法を模索したりなど、得られるメリットは非常に大きいのです。

 

中谷昌文
社会貢献活動家
国際ビジネス大学校 理事長
特定非営利活動法人 国際コンサルティング協会 理事長

本連載は、中谷昌文氏の著書『なぜ大富豪のサイフは空っぽなのか?』(ビジネス社)から一部を抜粋し、再構成したものです。

なぜ大富豪のサイフは空っぽなのか?

なぜ大富豪のサイフは空っぽなのか?

中谷 昌文

ビジネス社

世界の富裕層はどのように財産をつくり、子孫に伝えているのか。教師を経験した後、渡米して様々な経験を積んだ著者は、NIKEシューズと出合い、その魅力を日本に伝えた。そうした経験でつくった人脈と資産によって、海外の富裕…

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