「g」の世界の住民が99%の現実
わたしが皆さんにお伝えしたいことは大きく2つあります。それは、お金を「守る」こと、そしてお金を「増やす」ことです。
アマゾンで「お金」をキーワードに本を検索すると、ありとあらゆるタイトルが表示されます。その数、実に2万冊以上。ただ、その多くは「お金を稼ぐ・増やす」ものが中心で、「お金を守る」という本はほとんど出てきません。
しかし、お金を稼ぐ・増やすだけでは、資産形成にはなりません。そのことは、宝くじを当てた人の多くが自己破産を経験していたり、高額所得者が生活水準を落とせず老後資金に困ったりする事例を見れば明らかです。
そこでわたしは、主に海外投資に焦点をあてつつ、「資産を守りながら増やしていく」ことにフォーカスしたいと思います。重要なポイントは、「寝ているお金を働かせる」「お金に自ら働いてもらう」ことにあります。
「お金に働いてもらう」という発想は、フランスの経済学者ピケティが『21世紀の資本』という本の中で発表し、世界中で話題になった「r>g」という、たった一つの不等式で言い表すことができます。
「r」とは資本収益率、「g」とは経済成長率のことなのですが、「r」が「g」より大きいということは、つまり「資産運用による収益の伸び率」のほうが「労働収入の伸び率」を上回っているということです。
よりわかりやすくいうと、「どれだけ労働時間を増やし貯金で資産を増やそうとしても、持っている資産を運用で増やさなければ、あなたの資産は増えない」ということを示しているのです。
人が持っている時間は誰でも平等で、1日24時間です。48時間働ける人はいません。ですから、時間を切り売りして働き、その収入を貯金するだけでは、いつまで経っても「g」の世界の住人となってしまいます。そして、「g」の稼ぎ方を続ける限り、お金に働いてもらって効率的に増加させている「r」の住人との格差は広がり続けていくことを、ピケティの不等式は表しているのです。