(画像はイメージです/PIXTA)

香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。

ハンセン指数 19,452.09 pt (▲0.74%)
中国本土株指数 6,672.42 pt (▲1.03%)
レッドチップ指数 3,623.71 pt (▲1.21%)
売買代金1,102億0百万HK$(前日1,056億5万HK$)

今夜の米雇用統計発表前に、市場の警戒感は上昇

市場が待望の米雇用統計が今夜発表される。内容次第では米金融当局が3回目の超大幅利上げに踏み切る可能性も示唆され、警戒感は一層高まっている。

 

8月の非農業部門雇用者数の予想値は30万人増と前月の52.8万増から比較的緩やかな伸びも、足元しっかりな環境が続く。失業率については50年ぶりの低水準である3.5%で横ばいの見通しであり、賃金の着実な伸びが予想される。

 

ただ、市場の警戒はなお強い。主要通貨に対するドル価値を示すドルインデックスは2002年以来、約20年ぶりの高値を記録、円相場は一時1ドル=140円台に乗せた。

 

金融当局の積極的な利上げが織り込まれ、ドルに資金が流入している。米債券市場では政策金利の動向に敏感な2年米国債利回りは3.5%台と15年ぶりの高水準での推移が続いている。

 

パウエル議長は足元のインフレを抑え込むことが最優先と捉え、物価を安定させ、家計と企業に痛みをもたらすことは辞さない姿勢だ。

 

今夜の結果を受けて、米国の堅調な経済を再確認し、予想外の雇用者数の増加につながれば7月に続いて消費者心理の改善につながり、金融当局にとっても75bpsの利上げを正当化する十分な材料となるだろう。まずは9月のFOMCを前にひとつひとつ経済指標を見極める慎重な時期となりつつある。

 

2日のアジア市場は米金利高を受けて引き続き株式市場は上値が重い展開が続く。中国ではゼロコロナ政策を堅持しており、再び内部環境の悪化も懸念された。

 

中国では、10月の共産党大会を前に相次いでゼロコロナ政策を一段と強化している。四川省の大都市、成都市は1日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて住民2,100万人を対象にロックダウンを実施した。

 

今回の都市封鎖は今年6月に解除された上海以来の規模となる。そのほか、南部・深圳市や東北部・大連市などでも、行動制限が実施されるなど、感染者数が少数でも厳格な規制を敷く傾向がここ数日みられる。

 

中国本土の感染者は8月上旬をピークにそれ以降、緩やかなペースで増加傾向にある。ただそれ以上に、ここにきて再び行動規制が強化された背景には、来月に控える党大会を前に感染拡大を何としても防ぎたいという地方当局の焦りも感じられる。

 

成都市は1日から4日にかけて大規模検査の結果を受けて今後の延長可否の判断となるが、長期的な封鎖となれば経済活動が阻害されかねないとの懸念もあり、警戒が高まる。

 

次ページ政府は追加された政策措置の詳細を9月公表へ

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