さて、私が患者さんに勧める適切な耳掃除は以下になります。
- 週一回
- お風呂上がりに綿棒で入り口1センチのみ
- 耳垢を押し込んでしまった感じがすれば、耳鼻科でとってもらう。
- どうしても痒みを抑えたい、いじりたい時は、マキロンを少量綿棒につけて、それで一回軽く拭う。
4については、マキロンのしゅわしゅわ感で痒みが治まり、ついでに傷も消毒され、耳垢も溶かしてくれます。やりすぎると塊の耳垢が出るので気をつけてください。
よく、お風呂やプールで耳に水が入ったまま抜けない、とおっしゃる患者さんがいらっしゃいます。ですが外耳道は鼓膜が突き当りの閉鎖腔となっており、入り口が低くなる坂道になっていますので、自力で抜けるはずです。
それでも残っている感じがあるとしたら、それは耳垢が水を吸ってふやかされている状態です。耳鼻科ですぐに取ることができます。
かゆいために耳掃除をし、掻きすぎてしまうと外耳道内の皮膚からヒスタミンが出てさらにかゆくなり、いずれ耳だれが出てきます。耳がかゆい方は、耳全体を冷たいタオルで冷やしてみてください。知覚神経が鈍くなり、血管が収縮してヒスタミンが抑えられるので、少しはかゆみが治まるはずです。
安易にお手持ちのステロイド軟膏を塗ってしまうと、比較的すぐに外耳道にカビが生えるためお勧めしません。それでもどうしてもかゆすぎるときは、迷わず耳鼻科にご相談ください。
また、世間では、市販の耳掃除グッズが色々と販売されていると思います。耳の中を光で照らす耳かき棒や、耳の中に入れる液体など。私は、これらのグッズは効果よりもデメリットの方が多く感じますので、単純にまずは「いじりすぎない」、ここからスタートで良いと思います。
耳垢は病気ではありません。取りすぎて傷を作れば病気になるのです。
366もの耳ツボを有効活用すべし
もう一つ、患者さんに私がお願いしているのは、リラックスできる他のルーティンを作ること。耳掃除はリラックス法ではないのです。
「お風呂上がりには耳掃除をやらなきゃ」というイメージはまず捨ててください。
仕事や家庭など、忙しい毎日を送るあなたには、耳をもっと有効活用していただきたいのです。というのも、じつは耳にはたくさんのツボがあります、その数じつに366個!
気温差もあり、環境の変化も多く、気持ちが落ち着かないこの季節。手軽にできて気持ちも和らぐ、簡単な耳マッサージ法をお伝えいたします。耳マッサージは自律神経を整え、頭痛・不眠・倦怠感といった不調の緩和が期待できます。血流が良くなり、自律神経のうち、体をリラックスさせる役割を担う「副交感神経」の働きが高まり、気持ちも和らぎます。