(※写真はイメージです/PIXTA)

緑内障は「失明する病気」と思われがちですが、きちんと治療を受けていれば失明することはまずありません。また、進行を防ぐ方法には「自分でできること」もあります。メディアでお馴染みの眼科専門医・平松類氏の著書『自分でできる!人生が変わる緑内障の新常識』(ライフサイエンス出版)より、緑内障によい食べものや、控えたほうがいい食べものを見ていきましょう。

Q2. 「緑内障によい食べもの」はありますか?

⇒A. 視神経のダメージを抑えるためにもタンパク質、とりわけ肉をきちんととることをおすすめします。

 

【エビデンスレベル:C】

食事が身体をつくります。目だって例外ではありません。栄養バランスの悪い食事をとり続ければ目は悪くなり、よい食事をとり続ければよくなります。実は目も毎日代謝していることをご存じでしょうか? 肌のように古い細胞がはがれ、新しい細胞ができているのです。その老廃物が目やにとして身体の外に出ています。では、どういった食事がよいのでしょうか?

 

まずタンパク質(図表3)が大切なことがわかっています。「必要以上に食べろ」ということではありません。高齢の女性では、タンパク質とりわけ肉をきちんととっている人のほうが緑内障になりにくいという研究があります*1。実際に外来でみているとあまりタンパク質をとっていない患者さんが多いです。

 

出所:平松類著『自分でできる!人生が変わる緑内障の新常識』(ライフサイエンス出版)
[図表3]肉はタンパク質を多く含む 出所:平松類著『自分でできる!人生が変わる緑内障の新常識』(ライフサイエンス出版)

 

肉を食べる頻度が緑内障に関係しているとするならば、どんな理由が考えられるのでしょうか? 緑内障は視神経がダメージを受けることで発症します。タンパク質が不足すると、身体をつくる基本構造がもろくなるわけですから、視神経がダメージを受けやすくなるのではないかと推測されます。したがって、タンパク質をきちんととることは緑内障の進行抑制によい影響をもたらすといえます。

 

とはいえ、ポイントはあくまで栄養バランスを崩さないということです。たとえば、「肉を食べましょう」といった場合は「普段の食事に少し肉をとり入れてみては?」という意味なので、注意してください。

 

また続発緑内障のように糖尿病などが原因の場合は、医師や管理栄養士のアドバイスを聞いてください。あくまで糖尿病をコントロールできる範囲内で食事にとり入れてください。緑内障にとってよい食べものがある一方で、控えるべき食べものもあります。そこで、緑内障に悪影響を及ぼす恐れのある食べものについてお話しします。

Q3. 緑内障の人が「控えたほうがいい食べもの」は?

⇒A. 精製食品とりわけ、砂糖を多くふくむ食べものです。血流を悪くし、視神経にダメージを与えます。

 

【エビデンスレベル:C】

「糖尿病や高血圧は緑内障にとってよくない*2」といった話を医師から聞いたことがあるかもしれません。これは医学的にも事実です。みなさんの中には、「糖尿病でも高血圧でもないので関係ない」と思われている方がいるかもしれませんが、実はそうともいえません。

 

仮に糖尿病でない場合でも「血糖値が高い人は眼圧が高くなる*3」ことがわかっています。つまり、血糖を上げすぎないようにすることが大切なのです。

 

血糖を上げる食材で一番先に思い浮かぶのが砂糖です。ついつい甘いものは食べたくなりますが、緑内障の進行を防ぐためにも控え気味にしましょう。では、どうして砂糖が緑内障によくないのでしょうか? それは血管にダメージを与えるからです。血中の糖分が多いと、糖が血管の壁にこびりついて血管を壊し、血液が外に漏れてしまったり、血管を詰まらせてしまったりする恐れがあります。つまり、血中に糖が多くふくまれると血流が悪くなり視神経がダメージを受けやすくなるのです。実際に外来でも血糖が高めの緑内障患者さんはやはり経過が悪くなりがちです。

 

一方で、砂糖と同様に精白小麦粉など精製された食材も血糖を上げやすい傾向にあります(図表4)。

 

出所:平松類著『自分でできる!人生が変わる緑内障の新常識』(ライフサイエンス出版)
[図表4]精製した砂糖や小麦粉を使った食べものには注意 出所:平松類著『自分でできる!人生が変わる緑内障の新常識』(ライフサイエンス出版)

 

これらについてもとりすぎないようにすれば十分です。ここまで、注意が必要な食べものについて見てきました。次回はさらに、具体的に食べものや飲みものが緑内障にとってどう影響するのかについてくわしくお話ししていきます。

 

*1 Kinouchi R, et al. A low meat diet increases the risk of open-angle glaucoma in women-The results of population-based, cross-sectional study in Japan. PLoS One 2018;13(10):e0204955. doi: 10.1371/journal. pone.0204955. eCollection 2018.

 

*2 Zhao D, et al. Diabetes, glucose metabolism, and glaucoma: the 2005-2008 National Health and Nutrition Examination Survey. PLoS One 2014;9(11):e112460. doi:10.1371/journal.pone.0112460. eCollection 2014.

 

*3 Choi JA, et al. Fasting plasma glucose level and the risk of open angle glaucoma: Nationwide populationbased cohort study in Korea. PLoS One 2020;15(9):e0239529. doi: 10.1371/journal.pone.0239529. eCollection 2020.

 

 

平松 類

二本松眼科病院 副院長

 

 

※本連載は、平松類氏の著書『自分でできる!人生が変わる緑内障の新常識』(ライフサイエンス出版)より一部を抜粋し、再編集したものです。

自分でできる!人生が変わる緑内障の新常識

自分でできる!人生が変わる緑内障の新常識

平松 類

ライフサイエンス出版

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