物件の管理は「専門会社に委託」が今では一般的
物件の紹介後も、筆者の会社が管理する任意売却物件のオーナーの皆さんは、基本的に物件の鍵を持っていません。管理物件に関しては私たちが鍵を預かり、物件管理、家賃管理、空室管理、水漏れなどの事故処理を行っています。
かつては地方の1棟ものの投資用のアパートなどで、オーナー自身が管理するケースもありましたが、賃借人と直接接することはトラブルを引き起こす可能性もあり、今では専門の管理会社に委託するのが一般的です。
当社では現在、数百戸ほどを管理していますが、月々4000円(税別)ほどの管理料で全ての問題を処理しています。オーナーの皆さんは店子である賃借人の行動を気にすることなく、本業や他の投資に神経や能力を注いでいただくことができます。
バブル期の失敗を繰り返さない
また、周辺とのトラブルを引き起こしやすい投資用物件を紹介しないことも、管理をしやすくする方法のひとつと考えています。
例えば、バブル期には郊外の物件への投資も盛んに行われましたが、バブルが崩壊するとそうした物件の多くは価格が大幅に下落し、オーナーの多くは損出を出して物件を処分したことはよく知られています。
そういった投資物件を多く抱えるマンションは賃料を下げるため、入居者が安定しなかったり、頻繁に空室が出たりして、居住環境としての質が下がります。当然、投資用のマンションとしては収益力が下がり、投資用不動産の商品価値も下がります。
このため私たちは、そうした物件は基本的に最初から扱わないようにしています。
当社はサブリースも行いますので、基本的には私たちが現地に赴いて、投資物件を直接見て判断するようにしています。その際に物件の投資用不動産としての収益性を確認するとともに、管理しやすい物件であるかも判断しています。
私たちのお客さんが物件を一度も見ずに購入できるのも、また、安心して鍵を預けて管理を任せてくださるのも、私たちが投資物件の収益性や将来性を事前に十分に調査・検討し、プロとして紹介するに値する物件であるかを判断しているからです。
また、当時は伊豆の熱海や湯河原、上越の越後湯沢などで盛んにリゾートマンションが開発され、3000万円や5000万円などという物件までありました。それが今では500万円、1000万円にまで下がり、なかなか買い手のつかない物件もあります。
そうしたバブル期に起きた不動産投資の失敗を、不動産業界にいた私自身もよく知っていますので、同じ轍を踏まないように十分注意しながら紹介する任意売却物件を選定するようにしています。
[図表]フィナンシャルアドバイザーズ(FA)の基本業務と賃貸管理