【国民年金】6割弱の人が知らない…「月々400円」で受取額を大きく増やす方法【CFPが解説】

【国民年金】6割弱の人が知らない…「月々400円」で受取額を大きく増やす方法【CFPが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

国民年金の受給額は満額でも月額わずか64,816円(令和4年度)。しかし、掛け金にプラス400円を払うだけで、受取額を積み増しできる制度があるのをご存じでしょうか。ところが、なぜか国民の間にはあまり周知されておらず、厚生労働省年金局の調査によれば、6割弱もの人がこの制度の存在を知りません。本記事では、この制度が活用できる人、メリット・デメリット等を見ていきます。

具体的に、どの程度年金が積み増しされるのか?

それでは、この400円を支払うことでどれだけ年金額が増えるのか、具体例を見てみましょう。

 

例えば、冒頭の50歳男性が50歳から60歳までの10年間、付加保険料を納めたとすると、納めた保険料の合計額は、

 

400円 × 10年(120ヵ月) = 4万8,000円

 

となります。

 

これに対していくら年金額が増えるかというと、

 

200円 × 10年(120ヵ月) = 2万4,000円

 

です。

 

毎年2万4,000円年金額が増えるのです。

 

さらに、65歳男性の平均余命は85歳なので、85歳まで年金を受取り続けたとすると、

 

4万8,000円 × 20年 = 48万円

 

多く年金を受取れることになります。

 

これに対して、支払った保険料は4万8,000円なので、43万2,000円得することになります。

 

こちらに、保険料を納めた期間と得する金額をまとめました。

 

* 85歳:65歳時点の男性の平均余命
[図表1]付加保険料納付期間別、得する金額 ~男性編~ * 85歳:65歳時点の男性の平均余命

 

* 90歳:65歳時点の女性の平均余命

[図表2]付加保険料納付期間別、得する金額 ~女性編~ * 90歳:65歳時点の女性の平均余命

 

このように、付加保険料を支払う期間が長ければ長いほど、得する制度というのがお分かりいただけるかと思います。入っておいて損はない制度ですよね。

付加年金は「国民年金のみ」に加入している人の制度

しかし、残念ながら付加年金は誰でも利用できる制度ではありません。利用できる人と、利用できない人は次の通りです。

 

【利用できる人】

 

●第1号被保険者(自営業、農林漁業、学生、無職、65歳未満の任意加入者など)

 

【利用できない人】

 

●第2号被保険者(厚生年金加入者)

●第3号被保険者(第2号被保険者に扶養されている配偶者)

●国民年金保険料の免除・猶予を受けている人

●国民年金基金の加入者

 

付加年金は、国民年金のみに加入している人のための制度です。国民年金のみに加入している人の年金額はとても少ないので、この制度を利用できる人は、利用を検討した方がいいでしょう。

付加年金のメリット・デメリット

そのほかにも利用した方がいいメリットがいくつかあります。

 

付加年金は、マクロ経済スライドの影響を受けないので増減はしないようになっています。ただし、国民年金自体を繰下げして、受給開始年齢を65歳よりも後ろ倒しにすると、付加年金も増額されます。長生きすればよりお得になるということです。

 

また、付加保険料は全額が所得控除の対象となる為、税制面でも優遇を受けられます。

 

一方で、デメリットもあります。

 

付加年金は、2年で元がとれる制度です。平均余命まで生きれば、かなりお得な制度だということをお伝えしました。しかし、もしも65歳から2年以内に亡くなってしまったとしても、納付した付加保険料は返還されません。年金を受取る前に亡くなってしまった場合も同様に、納付した付加保険料は返還されません。

 

さらに、国民年金自体を繰上げして65歳よりも早く受取り始めると、付加年金も減額されます。

「付加年金」を知っている人は、半数にも満たない

「付加年金」という制度、ご存じでしたか? 厚生労働省年金局がおこなった「令和2年国民年金被保険者実態調査」では、42.9%の人しか「付加年金」という制度を知らないという結果が出ました。こんなにお得な制度なのに、半数以下の人が知らないなんてもったいないのではないでしょうか。

 

なお、付加保険料は、納期限を経過した場合でも、支払いの期限から2年間は支払うことができます。いまからでも間に合います。少しでも年金受給額を増やすために、この制度を利用してみてはいかがでしょうか。

 

 

高木 智子
ヨージック・ラボラトリー CFP

 

 

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