建設業界の今後は、強い会社のみが生き残る時代へ
これから数年で大きく変わることが予想される環境変化に対して、ひとまずは残業の上限規制など目の前の法改正に合わせた準備が必要です。
帝国データバンクの調査を見ていくと建設業の人手不足やコスト上昇が顕著に現れており、今は支援金などでなんとか事業を続けられている建設会社も今後は人手不足などによる倒産が増える可能性は十分にあり得るのです。
今後も短期的には大阪・関西万博などによる需要増加が見込まれますが、しかし数十年単位で長期的に考えると、地方インフラや公共事業の需要が減少し、新規工事の数が伸び悩むと考えられます。
すでにある建築物の維持管理の需要がある程度見込めるとしても、新規工事が生まれにくい状況は業界の進展に影を落としているといえます。
しかし根本的な問題は、環境変化そのものというより多くの建設会社が過去の恵まれた時代の経営手法を続けていることにあります。
国や地方公共団体からの恩恵で稼げた時代は過去に
製造業や小売業をはじめ、他業種ではデジタルを用いた業務効率化などの経営改善が進められていますが、建設業はこれまで堅調なニーズゆえにどんぶり勘定でも利益を確保できる時代が続いたため今の時代に対応できていないのです。
公共工事などの新規工事が減ることを分かっていながら自ら動かず、国や地方公共団体の支援頼みを続けるわけにはいきません。その先には強い会社のみが勝ち、弱い会社が淘汰されるという二極化の未来が待っているからです。
ただ、このような状況でも変化に積極的に対応する中小建設会社にはまだ対応する時間は十分に残されています。
CCUSや電子帳簿保存法の改正もうまく活用すれば業務効率化につなげられます。
さらに労働生産性を向上させること、非対面化を進め感染リスクを低減させること、インボイス対応などを目的に、ITツールを導入する企業に対して“IT導入補助金”が支給されています。
このことからも国は中小企業の業務改善を後押ししてくれていることが分かり、これはチャンスともとらえられます。
こうした追い風を自社の成長につなげるには取り組むべき順序があり、ほとんどの中小建設会社が真っ先に取り組むべきは「無駄をなくす」ということなのです。