(※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

個人消費などが前期比プラス寄与、外需などが前期比マイナス寄与か

 

 

●8月15日に発表される4~6月期第1次速報値では、実質GDP成長率は前期比+0.3%程度、前期比年率+1.4%程度と、まん延防止等重点措置が発令されていた期間を含む1~3月期からの反動のため個人消費が増加し、2四半期ぶりのプラス成長になると予測する。

 

●4~6月期実質GDP第1次速報値では内需前期比寄与度は+0.6%程度を予測する。内訳をみると、民間需要の寄与度が+0.3%程度のプラス寄与度、公的需要の寄与度は+0.3%程度の寄与度と予測する。外需の前期比寄与度は▲0.3程度になると予測した。

 

●個人消費の供給サイドの関連データである耐久消費財出荷指数の4~6月期前期比は▲6.4%の減少になった。一方、同じく供給サイドの関連データである非耐久消費財出荷指数は同+0.8%の増加だ。参考までに商業販売額指数・小売業の4~6月期前期比は+1.8%の増加になった。また、需要サイドの関連データでは、家計調査・二人以上世帯・実質消費支出(除く住居等)の4~5月平均の対1~3月平均比は+2.1%の増加である。乗用車販売台数の4~6月期・前期比は+2.0%の増加になった。

 

●GDP統計の実質個人消費(家計最終消費支出)と関連性が高い消費総合指数(月次ベース)の4月対1~3月平均比は+0.6%の増加である。一方、家計最終消費支出の推移を様々な月次データによる時系列回帰モデルによって推測している総消費動向指数の4~5月平均の対1~3月平均比は+1.3%である。また、財とサービスに関する各種の販売・供給統計の月次データから算出している日銀の実質消費活動指数(旅行収支調整済)の4~5月平均の対1~3月平均比は+2.3%である。以上から総合的に考えると、4~6月期第1次速報値の個人消費は、前期比で+1.1%程度の増加になると予測した。1~3月期はまん延防止等重点措置が発令されていた期間を含むため、旅行・レジャー関連の支出増が大きかったとみられる。個人消費はGDP押し上げ要因になったと予想される。

 

●設備投資の関連データである資本財出荷指数の4~6月期前期比は▲0.6%の減少になった。また、資本財(除.輸送機械)出荷指数の4~6月期前期比は+0.9%の増加になった。一方、建設財は同+3.8%の増加である。GDP統計では、4~6月期の供給サイドから推計される実質設備投資は前期比+0.8%の増加になると予測した。

 

●民間在庫変動の前期比寄与度は▲0.4%程度とみた。1~3月期の+0.5%の反動も出よう。ARIMAモデルにより内閣府が算出・公表した、4~6月期の原材料在庫の季調済実質値前期差は▲3,125億円、仕掛品在庫の季調済実質値前期差は▲1兆5,868億円である。一方、鉱工業在庫指数の前期比は、1~3月期は+1.0%だったが、4~6月期は▲1.1%になったことなどを考慮した。

 

●実質輸出入の動向をみると、輸出の4~6月期・前期比は▲3.2%の減少になった。控除項目の輸入は同+0.5%の増加になっている。財のデータでみると1~3月期の外需・財貨の前期比寄与度はマイナスになりそうだ。サービスも含めたGDPの輸出の4~6月期前期比は▲1.1%の程度の減少、輸入は同+0.3%度の増加と予測した。4~6月期の外需の前期比寄与度は▲0.3%程度になるとみる。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2022年4~6月期実質GDP(第1次速報値)予測』を参照)。

 

(2022年7月29日)

 

宅森 昭吉

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

理事・チーフエコノミスト

 

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