前回は、相続前に「一族全員で話し合い」をするメリットを説明しました。今回は、財産の大半が不動産の場合の、基本的な相続税対策の進め方を見ていきましょう。

現金化が難しい相続財産の場合、早めの対策が重要に

生前に相続税の節税に着手したほうがいいのか、それとも相続税の心配は基本的に必要ないのか。このあたりの判断が難しいところです。そのためには、現状のままで相続税を納税することができるのかどうかを見極める必要があります。

 

相続税の納税は、現金での一括納付が原則ですが、現金化するのが難しい土地や家屋しか相続財産がない場合は、事前に相続税対策が必要です。特に、売却できる相続財産が自宅の土地、家屋しかない、という場合には早めに動く必要があります。

 

売却してもいい土地、あるいはほかにアパートなどの収益物件などがある場合には、その不動産を売却して、現金化できるのか。相続人一人ひとりの了解を得られるかどうかなども重要なポイントになってきます。

 

相続財産は、郊外や地方のバス便が必要な立地に先祖代々の土地と家屋のみ――そんなケースでは、まず迷うことなく、より積極的に資産の組み換えを実施して、法人を設立。アパート・マンション1棟などの収益物件を購入することで、現状の相続財産にかかる相続税をゼロ、もしくはゼロに近い状況に持っていく。そんなプロセスを説明して被相続人、相続予定者全員の了解を取り付けましょう。

対策実行の前に、複数の専門家からアドバイスをもらう

法人を設立して、相続すべき物件を法人に譲渡しようと考えた場合、その方法が果たしてベストな方法なのかというのはなかなか難しい判断になります。法人が物件を所有する場合、「小規模宅地等の特例」が使えなくなってしまう場合があるためです。

 

小規模宅地の評価減が使えなくなるデメリットを上回るメリットが、本当に法人設立、法人への物件譲渡にあるのかどうか。いま付き合いのある不動産会社、あるいは税理士に不安があるのであれば、それ以外の専門家に聞いてみることも重要です。

 

とりわけ、新聞やテレビなどで派手な広告を出している「30年家賃保証」といったフレーズを売りにしている業者と組んでアパート経営などをやってみたいと思っている人は、いわゆる「セカンド・オピニオン」として別の専門家の意見を聞いてみることも大切かもしれません。

 

ある程度広い土地を持っている人であれば、自宅のあまった土地にアパートを建てる、あるいは広すぎる土地の一部を売却する、といった選択肢もあるでしょう。

 

実際に、相続物件が自宅しかないようなケースでは、一戸建ての自宅をマンションやアパートに建て替える、自宅を売却して都心に中古タワーマンションを購入する、という選択肢もあるかもしれません。

 

相続税対策という面でも、一戸建てとマンションで床面積が同じなら、土地の面積が小さくなるマンションのほうが、相続税の評価額は小さくなり有利になります。

 

いずれにしても、そうした判断は専門家にアドバイスをもらってからするのが一番です。しかも、できれば複数の業者や専門家に話を聞き、納得した上でことを進めるようにしましょう。

本連載は、2013年8月2日刊行の書籍『相続税は不動産投資と法人化で減らす』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

相続税は不動産投資と法人化で減らす

相続税は不動産投資と法人化で減らす

成田 仁,富田 隆史

幻冬舎メディアコンサルティング

従来より相続税対策として考えられてきた、アパートや小規模ビルなどの建設。しかし、それこそがリスクをもたらしているかもしれないとした…。 本書は、持て余している土地を収益性の良い賃貸物件に買い替える不動産投資の最…

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