ネット上に出回る冷笑話
旧ソ連がそうだったが、社会が統制的であるほど、人々の率直な感情、当局に対する皮肉・揶揄、そして一面の真理を突いた小話が多く聞かれる。上海封城では例えば、ネット上で次のような素直には笑えない笑話(冷笑話)が出回っている。
◆溺れかけた者のひらめき
PCR検査会場の庭で池に落ちて溺れかけた者が、通りを歩く検査員に必死に助けを求めるが、検査員はみな知らぬ顔をして通り過ぎていく。そこで、彼は突然ひらめき叫んだ。「俺は陽性だ!」検査員は驚き、直ちに彼を池から引き上げた。
◆感染防止説明会
上海市幹部が市民に感染防止の説明会を行っている。
幹部「日用品、医薬品など重要物資を上海へ運ぶ物流はすでに確保されている」
市民「うちの高齢者はすでに3日も薬を飲んでいない。家には何もない」
幹部「すでに浙江から100トンの野菜、新疆から10トンの羊肉が届いている」
市民「うちの地区はもう2週間も封鎖され、食料は何も残っていない」
幹部「同志よ。家に何があるか見るのを止め、もっと人民日報のような官製報道を見ることだ」
◆アダムとイブ
美術館に一枚のアダムとイブの絵が飾られている。
英国人「これは間違いなく英国人だ。男がうまそうなものを持ち、女と分け合っている」
フランス人「これは間違いなくフランス人だ。男女が裸で散歩している」
上海人「いや上海人だ。食べるものがなく、着るものもない。おまけに隔離されている」
◆猫背を直す医者
昔、猫背を直す医者が2枚の板を使い、患者に圧力を加えて治療。その結果、猫背は治ったが、患者は死んでしまった。患者の家族が医者に質したところ、医者の言い分にはそれなりの理屈があった。
「自分の仕事は猫背を直すことだ。患者の生死は自分にとってどうでもよいこと(干我何事)」
※人民日報海外版傘下のブログサイトが機械的な感染防止対策は問題とする中で、古代の笑話として紹介。人民日報系だけに注目された。
◆朝陰区
北京中心部の朝陽区はPCR 検査での陰性を確保するため、「朝陰区」に改名すべき。
次回は「ゼロコロナ政策」で経済がどのような影響を受けているかを探る。
金森 俊樹