2022年5月分景気動向指数(速報値) (※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

先行CI前月差▲1.5で3ヵ月ぶり下降、一致CI前月差▲1.3で4ヵ月ぶりの下降

 

5月分一致CI3ヵ月移動平均・下降だが1標準偏差に届かず、「改善」判断継続

 

 

 

●5月分の景気動向指数・速報値では、先行CIが前月差前月差▲1.5と3ヵ月ぶりの下降になった。速報値からデータが利用可能な9系列では、新規求人数、消費者態度指数の2系列が前月差寄与度プラスになり、最終需要財在庫率指数(逆サイクル)、鉱工業生産財在庫率指数(逆サイクル)、新設住宅着工床面積、日経商品指数、マネーストック、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの7系列が前月差寄与度マイナスになった。

 

●5月分の一致CIは前月差▲1.3と4ヵ月ぶりの下降になった。速報値からデータが利用可能な8系列では、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業、有効求人倍率、輸出数量指数の4系列が前月差寄与度プラスになり、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数の4系列が前月差寄与度マイナスになった。

 

●最近の一致CIを使った景気の基調判断をみると、21年1月分で「上方への局面変化」に上方修正され、2月分では判断が据え置かれた。3月分で景気拡張の可能性が高いことを示す「改善」に上方修正され、4月分~8月分と「改善」の判断は据え置きになっていたが、9月分では「足踏みを示している」に下方修正され、10月分~22年2月分速報値では「足踏みを示している」の判断が継続となった。しかし、生産・出荷関連データの年間補正などがあった2月分改定値では「改善」に戻るための、「3ヵ月以上連続して、3ヵ月後方移動平均が上昇、かつ当月の前月差の符号がプラス」という条件を満たした。3月分・4月分でも「改善」の判断が継続となった。

 

●今回5月分でも「改善」の判断が継続となった。4月分の一致CIの前月差も、3ヵ月後方移動平均の前月差もともに下降に転じた。但し、3ヵ月後方移動平均のマイナス幅は▲0.26程度にとどまり、1標準偏差の▲1.00にとどかなかった。再び「足踏み」に下方修正になるための「3ヵ月後方移動平均の符号がマイナスに変化し、マイナス幅(1ヵ月、2ヵ月または3ヵ月の累積)が1標準偏差以上。かつ当月の前月差の符号がマイナス」という条件は満たさなかった。

 

●6月分でも「改善」の判断が継続となる可能性が大きい。万一、2ヵ月連続して一致CIの前月差も、3ヵ月後方移動平均の前月差も、ともに下降になったとしても、過去の数字が不変で、一致CIの前月差がかなり小幅な下降にとどまれば、3ヵ月後方移動平均の2ヵ月累積のマイナス幅が1標準偏差に届かない可能性がある。

 

 

●5月分の先行DIは33.3%と景気判断の分岐点の50%を下回った。速報値からデータが利用可能な9系列中、新規求人数、日経商品指数、中小企業売上げ見通しDIの3系列がプラス符号に、最終需要財在庫率指数(逆サイクル)、鉱工業生産財在庫率指数(逆サイクル)、新設住宅着工床面積、消費者態度指数、マネーストック、東証株価指数の6系列がマイナス符号になった。

 

●5月分の一致DIは50.0%とちょうど景気判断の分岐点の50%になった。速報値からデータが利用可能な8系列中、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業、有効求人倍率の4系列プラス符号に、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、輸出数量指数の4系列がマイナス符号になった。

 

●7月27日発表予定の5月分景気動向指数・改訂値では、先行CIに新たに実質機械受注(製造業)が加わる。機械受注の発表日は7月11日である。また在庫率関連データが7月14日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。実質機械受注(製造業)の前月差寄与度がマイナスになり、先行CIは速報値の▲1.5から下方修正になる可能性が大きいとみられる。先行DIでの、実質機械受注(製造業)の符号は微妙だが、比較対象の2月分の水準が低いので、プラス符号で加わる可能性が大きいと見た。残りの符号が不変だとすれば、先行DIは速報値の33.3%から40.0%に上方修正されると予測する。

 

●5月分景気動向指数・改訂値で、一致CIに労働投入量指数が加わる。労働投入量指数は、雇用者数(非農林業)と総実労働時間指数(調査産業計)の2つの系列を掛け合わせて作られている。内訳をみると、雇用者数(非農林業)は労働力調査のデータで前月比▲0.4%の減少であることが判明している。一方、毎月勤労統計・速報値の総実労働時間指数(調査産業計)は前月比▲0.7%の減少である。また、5月分確報値は7月26日に発表されるため、5月の一致CI改定値では確報値が使われる。また、生産指数関連データは7月14日発表の確報値段階で、また商業動態統計関連データが同じく7月15日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。労働投入量指数の前月差寄与度が▲0.14程度になるとみて、一致CIは速報値の▲1.3から▲1.4程度に下方修正されると予測した。5月分の一致DIは速報値で50.0%だったが、新たに加わる労働投入量指数の符号は比較対象の2月分の水準が低いのでプラスになるとみられるため、他の採用系列の符号を不変とすると、改定値は55.6%に上方修正されると予測される。

 

●6月分の先行CIの採用系列で速報値からデータが利用可能な9系列中、現時点で数値が判明しているのは、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列である。消費者態度指数、日経商品指数の2系列が前月差プラス、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの2系列が前月差マイナスである。

 

●また、6月分の先行DIでは、数値が判明している消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列では、日経商品指数、東証株価指数数、中小企業売上げ見通しDIの3系列がプラス符号に、消費者態度指数1系列がマイナス符号になることが判明している。5月分速報値段階の先行DIは33.3%以上88.9%以下になることが確定している。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2022年5月分景気動向指数(速報値)』を参照)。

 

(2022年7月7日)

 

宅森 昭吉

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

理事・チーフエコノミスト

 

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    三井住友DSアセットマネジメント株式会社 理事・チーフエコノミスト

    旧三井銀行(現三井住友銀行)で都市銀行初のマーケットエコノミストを務める。さくら証券チーフエコノミストなどを経て現職。
    パイオニアである日本の月次経済指標予測に定評がある。身近な社会データを予告信号とする、経済・金融のナウキャスト的予測手法を開発。その他、「景気ウォッチャー調査」などの開発・改善に取り組んできている。「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」など政府の経済統計改革にも参画。「景気循環学会」常務理事。
    著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)など。

    著者紹介

    連載【宅森昭吉・理事・チーフ エコノミスト】エコノミックレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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