(※写真はイメージです/PIXTA)

夫婦2人からなる世帯は近年増加傾向にありますが、数10年前には数が少なかっただけに、相続を取り巻く法律や対処法が浸透しておらず、深刻なトラブルに発展してしまうことも多々あります。そうしたケースに役立つ、有効な防衛策や、近年誕生した新たな法律について解説します。

配偶者に自宅を残すには「遺言」を遺すのが有効

このような事態を防ぐ有効な対処法として、「遺言」があります。「遺言」は法定相続分より優先されるので、相続人に対して法定相続分以上の遺産を与えることも法律上可能となります。すなわち、たとえ住宅の価値が法定相続分を超過していても、住宅を取得することができ、代償金の支払い対象にもなり得ません。(「遺留分」は別です)

 

では、もし配偶者が遺言を残していない場合に、打つ手はあるのでしょうか。

自宅を相続できなくても住みつづけられる法律とは?

2020年(令和2年)に、「配偶者居住権」というものが誕生しています。残された配偶者の居住権を保護するための方策が新設されたという形です。

 

これは、残された配偶者が被相続人の所有する建物に居住しており、尚且つ、一定の要件を充たす場合に、住宅の名義に登録している被相続人が亡き後も、賃料の負担なくその建物に住みつづけることができるという権利です。

 

残された配偶者は、被相続人の遺言や、相続人間の話合い(遺産分割協議)等によって、「配偶者居住権」を取得することができます。すなわち、たとえ住宅を相続により所有することができなくても、居住する権利を確保することができるのです。

 

この「配偶者居住権」は、被相続人が、遺言によって所有する建物に配偶者居住権を設定せずに亡くなっていても、取得できる場合があります。被相続人が他界した時点で、その配偶者が居住していたときには、他の相続人と遺産分割の協議をして取得することができます。

 

また、たとえ遺産分割の協議が調わなくても、家庭裁判所に遺産分割に関する審判の申立てをすることにより、「配偶者居住権」を取得することができる場合があります。

 

配偶者を亡くすという心理的負担に加え、住み慣れた自宅を追われるというさらなる悲劇に見舞われないためにも、「遺言」等の事前対策の実践と、配偶者がもてる権利についての把握を、強くお勧めします。

 

 

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