(※写真はイメージです/PIXTA)

夫婦2人からなる世帯は近年増加傾向にありますが、数10年前には数が少なかっただけに、相続を取り巻く法律や対処法が浸透しておらず、深刻なトラブルに発展してしまうことも多々あります。そうしたケースに役立つ、有効な防衛策や、近年誕生した新たな法律について解説します。

35年で核家族と夫婦2人世帯の数が大幅に接近

家族の逝去にともない、悲しみとともに襲いかかることのある「相続問題」ですが、近年ではライフスタイル、家族のカタチが多様化したことで、ひと昔前ではあまり発生することのなかった事例が増加している傾向があります。

 

その一つが、「子のいない夫婦の相続問題」です。では近年、夫婦2人で構成される世帯はどれほど増加傾向にあるのでしょうか。図表1をご覧ください。

 

家族類型別世帯割合(内閣府)

 

1980年(昭和55年)に4割を超えていた夫婦と子どもからなる核家族の世帯は、2015年(平成27年)までの35年の間に15.2%減少しており、全世帯のおよそ1/4にまで減少しています。一方で、単独世帯は同じ期間で14.6%増加しており、全世帯の1/3を超えています。

 

そんななか、夫婦2人で構成される世帯は、同じく35年の間に7.7%増加しており、全世帯の1/5を超えています。核家族との割合の差はわずか6.7%にとどまっており、各々の世帯数は35年で大幅に接近したといえます。

配偶者の逝去で、自宅を失う深刻な事態が増加

それでは、夫婦2人のうちどちらかが他界した場合、どのような問題が生じ得るでしょうか。

 

たとえば、夫が亡くなった時点で妻と夫の母親が存命し、夫名義の財産として預金で200万円、自宅(土地・建物合わせて4000万円程度)が存在する一方、夫名義の住宅ローンも3,000万円残っている(夫は遺言を残していないことを前提とする)というケースについて。相続・遺言や親権などの家庭の法律問題に主に注力している専門弁護士が解説しています。

 

″まず、日本の住宅ローン制度では基本的に団体信用保険の加入が求められるため、住宅ローンの残金は団信の保険金で完済されます。したがって、預金200万円と自宅(土地・建物)の4000万円の合計4200万円がこのケースでの承継対象となります。このうち、妻の法定相続分は3分の2で2800万円、夫実母の法定相続分は3分の1で1400万円です。

 

この場合、妻が従前どおり自宅に住みたいと考えて自宅(土地・建物)の所有を希望したとすると、4200万円のうち4000万円相当の財産を妻が獲得することになるため、預金200万円を夫実母に譲っただけでは足りません。妻としては、代償金としてさらに現金1200万円を夫実母に支払い、総額1400万円という夫実母の権利を保障する必要が生じます。

 

もっとも、このような高額現金は、妻も持ち合わせていないことがほとんどです。そうすると、代償金の支払いができず、妻としてもやむなく自宅を売却し、現金に換えた上で夫実母とこれを分け合わなければならなくなります。しかし、これでは、妻は慣れ親しんだ自宅を失うことになりますし、売り急ぐことで不動産も廉価でしか売却できなくなります。”

(弁護士法人グレイス 家事部 森田 博貴 弁護士の記事『子のいない夫婦…夫死去で「自宅を失う妻」が多いワケ【弁護士が解説】』より引用)

 

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