国税庁の調査によると日本人の平均年収(給与)は約496万円であり、この額で40年間働いたとすると年金は月におよそ15万円もらえる計算となります。貯蓄を一切切り崩さず、月15万円で生活することは簡単ではありません。このような状況下、PGF生命が発表した「2022年の還暦人(かんれきびと)に関する調査」では、驚きの結果が示されました。みていきましょう。

政府も対応は急いでいるが…

政府もこの状況は十二分に把握しており、つみたてNISA、iDeCoといった資産形成を促す仕組みづくりを進めてきたほか、70歳までの就業機会確保を視野に入れた「高年齢者雇用安定法」の改正にも着手しています。もっとも、こちらは事業主側の対応もあるため、実現にはそれなりの調整期間が必要でしょう。

 

定年退職時期が先に延びれば、老後資金の問題はそれなりに軽減できますが、どんどんゴールが先延ばしされる就労者側はたまったものではありません。

 

「あれほど働いてきたのに、たったこれだけしか年金がもらえないのか」

「65歳のリタイアを視野に入れてきたのに、さらに遠くなるのか」

 

といった切実な声も聞こえてきます。

 

しかし、もうすぐ定年が視野に入ってきた人のなかで「リタイア後は仕事をせず、趣味や旅行で悠々自適に過ごします」といえる人がどれほどいるのでしょうか。

60歳前後のおよそ4人に1人は「貯蓄額100万円未満」

PGF生命(プルデンシャル ジブラルタ ファイナンシャル生命保険株式会社)が公表した、今年還暦を迎える1962年生まれの男女(還暦人)2,000名への調査によると、現段階の還暦人貯蓄額平均は3,122万円(前年度比+96万円)となりました。

 

一見これだけの貯蓄を蓄えられていれば、厚生労働省が公表した月々の平均支出額25.5万円は問題なさそうです。

 

ただこれは「統計のワナ」で、内訳をみると2,000名のうち23%、およそ4人に1人は「現段階で貯蓄額100万円未満」と答えており、さらにこの割合が最も多い結果となっています。

 

つまり、ひと握りの富裕層が大幅に平均を押し上げているだけで、現実には大多数の還暦人が十分な貯蓄を蓄えられないまま老後を迎えなければならないのです。

 

こうした残酷すぎる現実があるなか、「自助努力」が頻出ワードになっている昨今。

 

少子高齢化が深刻化する日本において、このままでは国が面倒をみることはできなくなるから、各個人、資産形成に邁進するように、というメッセージで「自助努力」は使われています。

 

「給与を上げることはできない、国も支えてあげることはできない。それでも投資をして資産を築いてもらうほかない」

 

政府を信じて「所得増」を待ち続けるか、少額からでも資産形成をはじめるか……無対策のまま働けなくなる「最悪の事態」を迎えないためにも、まずはNISAやiDeCoなど、できる範囲で動いてみるとよさそうです。

 

 

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