7月10日に向けて、各党耳障りのいい言葉を並べるが…
7月10日に控える参院選に向けて、自民党をはじめ、各党が声高に叫んでいる「日本人の所得増加」について。昨今の物価高や円安により、国民が今後の生活を心配しているなか、「賃金の上昇」「所得資産倍増」は耳障りがよいものの、実際には長いあいだ達成できていないという現実もあります。
国税庁『令和2年分 民間給与実態統計調査結果』によると、年間を通じて勤務した給与所得者の平均給与は433万円で、2年連続の減少となりました。男女別にみると、男性532万2,000円、女性292万6,000円。雇用形態別にみると、正社員495万7,000円、非正社員は176万2,000円となっています。
よく「日本人の給与は30年間上がっていない」といわれていますが、確かに、1990年の平均給与は425万2,000円ですから、まさにその通り。
バブル崩壊以降、経済は下降線を辿っていきましたが、その余韻から給与は上がり続け、ピークに達したのは1997年で467万3,000円。以降、2020年までの23年間。その間、前年比プラスを記録したのは8回、前年比マイナスを記録したのは15回となっています。
このような過去があるなかで、なんの具体策もなく「所得増加」といわれても、国民がピンとこないのは仕方がありません。
では、横ばいが続く所得水準で豊かな老後を過ごすことは可能なのでしょうか。
「足りない老後資金」をどうするか
厚生労働省『令和2年 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、令和2年の厚生年金保険(第1号)受給者は3,581万人、受給者の平均年金額は「14万4,366円」。これまでひとつの目安とされてきた「15万円」からは、じりじり下がっています。
ちなみに、65歳から5歳刻みでの老齢年金平均月額は下記の通です。
65歳~69歳:143,069円
70歳~74歳:145,705円
75歳~79歳:150,569円
80歳~84歳:159,529円
85歳~89歳:162,705円
90歳以上 :161,506円
なお、厚生労働省の『令和2年 年金制度基礎調査(老齢年金受給者実態調査)』によると、平均支出額は月額25.5万円。平均支出額は年齢を重ねるほど低くなる傾向にあるものの、平均年金受給額を15万円とすれば、その差は10.5万円。つまり、老後、平均的な支出を続ける場合には、毎月10万円程度を貯蓄から切り崩す必要がでてくるのです。