被相続人の預貯金が使い込まれていた…どうすべき?
相続人のうちの1名が、被相続人の預貯金の通帳を管理しており、被相続人の「生前」に、その通帳内のお金を使い込んでいた場合を想定します。
このような場合に、他の相続人は、お金を使い込んでいた相続人に対して、相続発生後になんらかの請求ができるのでしょうか。
まず、相続が発生した場合、預貯金などの金融資産については、原則として、相続発生時の残高(正確には遺産分割をする時点)を基準として相続をすることになります。
たとえば、被相続人が亡くなる1年前に、被相続人名義のA銀行の口座には5,000万円が入っていたとします。当該口座を管理していた相続人が預金を使い込んでしまい、相続発生時に残高が1,000万円となっていた場合には、この残額の1,000万円を基準として相続を考えることになってしまいます。
しかし、他の相続人としては、そのような不合理なことを容認することは難しいと思います。
そこで、今回は、一部の相続人が、被相続人の預貯金からお金を引き出して、無断で使い込んでしまった場合、他の相続人がどのような手続きをとることが可能なのかということについて解説いたします。
時効に注意…「不当利得返還請求」の中身
被相続人の預貯金を、一部の相続人が使い込んでいた場合、他の相続人は「不当利得返還請求」や「不法行為責任に基づく損害賠償請求」を行うことが可能です。ここでは、「不当利得返還請求」について解説していきます。
不当利得返還請求(民法703条)に関しては、次のように定められています。
「法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。」
「不当利得返還請求」が認められるためには、
②被請求者側に利得があること(被請求者側が払戻金を取得したこと)、
③「①と②」の因果関係、
④被請求者の利得に法律上の原因がないこと(被請求者に預貯金の引出し権限がないこと)
の要件が必要になります。
お金を取り戻したいと考える相続人は、これらの要件を、被相続人の預金の取引履歴や、生活状況などが分かる資料などを用いることにより、丁寧に主張立証していく必要があります。
なお、不当利得返還請求には、時効もありますので、ご注意下さい。
不当利得返還請求の時効は、
②権利を行使することができるときから10年間
となります。もし使い込みが判明してから、そのままなにもせずに放置しておくと、権利が時効により消滅してしまうため注意が必要です。預金の使い込みなどが判明したら、なるべく早く弁護士に相談することをおすすめします。
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