心の成長に年齢は関係ない
このように発達段階を説いたエリク・エリクソンは、1950年代からおおよそ1970年代ごろまでに活躍した重要な分析家です。今でもとても役に立つアイデンティティや基本的信頼感といった重要な概念を提唱した人であることは確かですが、一方でライフサイクルなどに関する考え方は文化や思想の影響を強く受ける部分があります。
例えば江戸時代やそれ以前の思春期、青年期ではまったくその様相や人生上の課題が今の時代と違っていたり、ジェンダー・アイデンティティに関することなど、数十年前の説明が現代に合わなくなるというようなことがいろいろ出ていることも事実です。
いずれにせよ、それぞれの時期に起こるさまざまなできごとを乗り越えることで心は成長していくため、心の成長に年齢は関係ありません。いかに問題から逃げずに向き合い、受け入れていけるかが重要です。
庄司 剛
北参道こころの診療所 院長