(※写真はイメージです/PIXTA)

心の成長に年齢は関係ありません。乳幼児の時期を過ぎても、学童期、思春期、青年期、中年期、老年期とライフサイクルのなかで起こるさまざまなできごとを乗り越えて心は成長していきます。精神分析家のエリクソンは、一生を8段階に分けて心の発達を考えました。本稿では乳幼児以降に訪れる大きな過渡期にスポットを当てて、心の発達段階を見ていきましょう。精神科医・庄司剛医師が解説します。

中年期(40~65歳ごろ)

■衰退・喪失・下降といった変化をどう乗り越えるか?

これまでの経験が実る円熟の時期である一方、衰退・喪失・下降といった変化が生じる時期であり、これを乗り越えることが課題となります。

 

身体的に衰えを自覚し、他人事と思っていた死を身近に感じ、自分の人生に焦りや不安を抱くことがあります。家庭においても、思春期または青年期の子どもの子育てによって、あるいは子どもの自立によって空虚感を抱く人もいます。

 

これを「ミッドライフ・クライシス」(中年の危機)と呼びます。「これまで、がむしゃらにやってきたけれど、自分はなんのために生きてきたんだ」と、立ち止まって考えるようになり、「結局はなにも達成していない」などと、理想化された目標設定に対して現実を突きつけられるわけです。

 

例えば、仕事に熱中するあまり気づいたら結婚するのを忘れていたとか、結婚しても家族を顧みなかったことで家庭内に自分の居場所がないとか、立ち止まって気づいてしまうのです。

 

このように中年期も危機をはらんだ転換期の一つであるといえます。

老年期(65歳以上)

■それまでの人生を肯定できるか、絶望するかが分かれ目

老いの時期であり、死が近づきつつあることを実感します。そのとき、今までの自分の人生を振り返って自分を肯定し「良い人生だった」と思えるか、絶望するかが大きな問題となります。

 

中年期までと同様、老年期もまたアイデンティティの揺らぎが生じます。なぜなら、老化現象によるさまざまな機能の低下によって自分に対して自信を失いやすいためです。さらに自主性や積極性の低下によって罪悪感や劣等感なども抱きやすくなるほか、今まで親密な関係にあったパートナーや友人などの喪失も経験します。そしてなにより、今まで世話していた立場から、反対に世話をされる立場に変わることも、アイデンティティを揺るがす大きな要因になってきます。

 

このように、老年期に入ると、いろいろな意味での喪失体験からネガティブな考えに転じやすくなる人もいます。しかし、喪失体験を受け入れつつ、中年期までに培ってきた自分に対する愛と肯定感をもって自分をとらえ直すことができれば、内面に広がりと深さが増し円熟してきます。

 

こうして人生を肯定的に受け入れられるように統合し、自分自身を改めて知ることで知恵や英知を獲得していきます。

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    ※本連載は、庄司剛氏の著書『知らない自分に出会う精神分析の世界』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

    知らない自分に出会う 精神分析の世界

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    庄司 剛

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