前回は、自分にぴったりな「生命保険」の作り方を説明しました。今回は、若い夫婦が「貯蓄型保険」に加入するメリットを見ていきます。

貯蓄型保険の保険料は「保険を兼ねた貯金」になる

前回紹介した貯蓄型保険を、金融商品として見てみましょう。

 

あくまでも満期まで解約しないことを大前提としますが、月々1万2000円の保険料で、年間の総額が14万4000円です。40年で140万円のプラスですから、1年で3万5000円増えたことになります。

 

いまどき、1年で14万4000円を積み立てて3万5000円増えるような金融商品はまずあり得ません。忘れてはいけないのが、死亡保険にも加入していることです。

 

保険料の金額だけを考えるのならば、貯蓄型保険が月に1万2000円、片や掛け捨ての医療保険が月に3000円と、9000円の差が付きます。毎月の保険料だけを見れば、貯蓄型保険は高いと思うかもしれませんが、最終的な支払い金額と保障を考えるのなら、貯蓄型保険のほうが効率的であることが納得できるでしょう。

 

この場合、貯蓄型保険の1万2000円の保険料は、保険を兼ねた貯金であると考えるとわかりやすいはずです。

 

この貯蓄型の保険に、夫婦2人で加入したとします。月々の保険料は2人合わせて2万5000円程度になりますが、夫婦のどちらかに万が一のことがあっても死亡保険金が支払われますから、当面の生活は何とかなります。

 

無事に60歳で満期を迎えたときに解約すれば、おおよそ1500万円ぐらいは戻ってきますから、2人で月々25万円、年間300万円の支出とすれば、1500万円あれば5年間は生活できます。

 

この計算でいけば、年金制度が揺らぐ中、ある程度の期間、保険の解約返戻金で生活をまかなえることになります。

 

20代、30代の夫婦にとって月々2万5000円の保険料は、決して安いとは言えません。しかし、将来的にそのお金がどう生きるかを考えると、高いか安いかの判断はまた変わってくるはずです。

 

「今払える金額は月に○○円です」という考え方からは、このような将来にお金をどう生かすかという発想は出てきません。資産形成というとつい株式や投資信託、外貨預金などをイメージしがちですが、その中に保険という選択肢を加えるという提案ができるのは、保険のプロならではの視点です。

必要なときに必要な補償を得るため、人生設計は綿密に

ただ、何となく加入した保険はたとえ高くても愛着が湧きません。微妙に肩幅がきつかったり、襟の形が気になったりと、少しでもフィットしない部分があるスーツは、せっかく高いお金を払ったとしてもクローゼットにしまいっぱなしになり、気が付いたら虫に食われて役に立たないものになっているかもしれません。

 

保険も同じことです。ライフプランをしっかりと考え、ライフプランニングをして加入した保険は、「自分の保険である」という意識を持ちます。ところが一般論で何となく加入した保険は「自分の保険」という感覚はなかなか持てません。

 

これは高い保険に加入すればよいという話ではなく、たとえ高くても、それが自分に合っていなければ保険として価値がないということです。反対に言えば、自分の描く将来像を現実にしてくれるような、自分に合っている保険ならば、多少高い保険料であっても払い甲斐がありますし、納得できるはずなのです。

 

良い保険、自分にぴったりフィットする保険と表現はさまざまですが、保険の最終的な役割とは、必要なときに、必要な保障が、つまり必要なお金が得られるものであること、この一点がすべてと言っても過言ではありません。

 

そのためには、何が必要かという要望を明確にすることです。そしてその要望に応じて、必要な保障を準備します。これがライフプランを立て、ライフプランニングを行うということです。

 

ライフプランの基本方針や希望の順位付けは、自ら考えるしかありません。しかし、それを具体化するためのプランニングには、心強い味方が存在します。それが保険のプロフェッショナルたちです。

本連載は、2015年6月26日刊行の書籍『死亡保険金は「命の値段」』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

死亡保険金は「命の値段」

死亡保険金は「命の値段」

杉山 将樹

幻冬舎メディアコンサルティング

命とお金に関わる保険は、生きている限りほとんどの人にとって必要不可欠な金融商品ですが、近年、その種類や保障内容が多様化・複雑化しています。 加入者は要望に合わせて自由に保険を選べるようになったものの、その選び方…

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