ダイエット中に食欲が暴走したら…
初級編「考え方を変える」③
▶Q:ダイエットしようと決意しても「どうしても食べてしまう」のはなぜ?
A:意志が弱いから
B:そこに食べ物があるから
正解はこっち! B:そこに食べ物があるから
■食欲をコントロールできないのは意志が弱いからではありません。
ダイエットを決意したのに、スイーツや好物がやめられず、ついつい手がのびてしまう……。そのたびに、自分の意志の弱さにガッカリしていませんか?
でも、そんなに自分を責めないでください。なぜなら「つい手が出てしまう」原因は、やる気の低さや意志の弱さではなく、脳の機能の誤作動によるものだからです。
食欲をコントロールしているのは、脳の視床下部にある中枢神経です。中枢神経の「満腹中枢」が正常に働けば満腹を感じて食欲が収まり、「摂食中枢」が働けば空腹を感じ、食欲がわきます。ところが、ストレスの影響により自律神経の働きが悪くなると、満腹中枢や摂食中枢が正常に機能せず、食欲の制御ができなくなるのです。
私自身、例えばアスリートの合宿や大会の遠征に帯同すると、食事を摂ったばかりなのにコンビニに行って甘いもの(大好物なんです……)を買い、2個3個と食べてしまいます。でも、日常生活に戻れば、自然と普段の食生活に戻っていきます。
私の場合、大会前のプレッシャーの環境下にあるとストレスになり、食欲の暴走につながるようです。
このように、もしダイエット中に食欲が暴走したら、まずはストレッサー(ストレスの原因)となる出来事、きっかけはなかったかを振り返ってみましょう。原因がわかれば、対処の仕方もわかり、食欲の暴走も止められます。
ただ、ダイエット中に限って思わず食べ物に手がのびてしまう、という場合は「ダイエット」があなたにとってのストレッサーかもしれません。
その場合はまず、「ダイエットしなきゃ!」「やせなきゃ!」という気持ちを捨ててください。
そもそも、ダイエットをしたい、やせたいと思い立ったのにはきっと、「こうなりたい」という理由があったはずです。「結婚式で好きなドレスを着こなしたい」「同窓会で友人に“キレイだね”“若いね”といわれたい」などなど。
「~しなきゃ」ではなく、「なりたい」自分の姿を想像しながら、ポジティブに励むことが大事です。
考え方ひとつで、ダイエットが「ストレッサー」ではなく「目標」に変わりますよ。
さて、もうひとつ「つい手が出てしまう」要因として、「ドーパミン」という脳内物質が影響していることが考えられます。このパターンは、「おいしいものが大好き」という食道楽の方に見られます。
人は予測していた報酬よりもよい報酬を得られた(報酬予測誤差)ときに“幸せホルモン”と呼ばれるドーパミンがドバッと放出され、大きな快感を脳にもたらします。例えば、ケーキを食べたときに、想像していた味よりも実際の味のほうがおいしかったときほど、人は感激し、ドーパミンが多く分泌される、という具合です。
ただし、このドーパミン、“幸せホルモン”と呼ばれる一方で“脳内麻薬”とも呼ばれます。
ドーパミンが分泌されることによって感じる快楽は、好きな人と会ったときや好きなアーティストのライブに参加したときの高揚感や興奮と同じ。また、スポーツを観戦したときに感じる熱狂も同様です。
一度、ドーパミンの分泌による快楽を味わうと、脳は「もっともっとドーパミンを出したい!」「またこの幸せな感じを味わいたい!」とさらなる快楽を求めるようになります。だから、好きな人と会ったり、ライブに行ったり、スポーツ観戦を楽しんだりする行動を繰り返します。
こうして人は何かにハマっていくのです。
食べ物にハマっていく人は、おいしいもの、好きなものを食べたときに脳がドーパミンによって「報酬を得た」という喜びを感じています。その快感がクセになり、食べたい欲求がどんどん強くなっていくのです。
このループを止めるには、段階的に少しずつ食べる回数を減らしていく方法があります。例えば1日1回、「おいしいものを食べたい!」と思っているなら、それを3日に1日、週末だけ、月に1回のご褒美に……と少しずつ回数を減らしていきます。
最終的には、週末だけ(週に1回)、月1回はカロリーを気にせず、おいしいものを食べに行くという報酬で満足できるようになれば、おいしいものを諦めることなく、ダイエットも大成功! です。