それなのに、多くの大学教授が幸せを感じていないワケ
このように、企業人から転職してきた筆者から見ると、大学は天国のような職場です。それなのに、大学教授の多くは自分が幸せだと感じていないようなのです。ずっと恵まれた環境にいると、自分が幸せであることに気づかないのですね。
「若いときの苦労は買ってもせよ」といわれます。本来の意味は「若いときに苦労すればその体験があとで役立つ」ということなのでしょうが、「若いときに苦労しておくと、のちに普通の生活をするようになったときに自分が幸せと思える」ということもいえそうですね。
サラリーマン時代に厳しくご指導ご鞭撻くださった上司、取引先、等々に感謝です(笑)。
ただし、最近は大学教授になるのが大変!
以上のように、大学教授の生活は大変恵まれていますが、だからといって筆者は若者に「大学教授を目指しなさい」とはいいません。
ひとつには、適性の問題があるからです。1人で研究室に篭って膨大なデータと格闘するのが好きならいいですが、大勢の人との関わりのなかで仕事をしたい人は企業人のほうが向いているかもしれないからです。
もうひとつは、大学教授になるのは大変だからです。大学を卒業して大学院に進学して修士号と博士号を得るまで給料をもらう代わりに授業料を支払い、しかも博士号を取得しても大学教員のポストが得られないリスクは決して小さくありません。
最近は大学教員を目指す人が激増しているので教員になれない人も多く、そうした人は企業が採用してくれずにアルバイトで生計を立てざるを得ない場合も多いのです。
大学教授を目指して大学院に進学する際のコストとリスク、大学院に進学せずに大学教授のポストを狙う脇道、などについては、次回以降にご紹介することとしましょう。
今回は以上です。なお、本稿はすべて筆者の個人的な見解です。
塚崎 公義
経済評論家・元大学教授