参加するか否かは「親子の話し合い」で決定
夏期合宿は十数万という高額でありながら、塾側からかなり積極的に参加を促されるため、「参加させて当然」というプレッシャーを感じて頭を抱えてしまう方もいらっしゃいます。このとき、覚えておいていただきたいことがあります。塾側もノルマがあるので、1人でも多く参加させようと色々な言葉で勧誘しますが、最後の決定権は保護者にあるということです。
よく聞くのが、「合格者で不参加の方はこれまでいません」と「合宿ではこれまでの復習も行うので、参加しないと春からがんばってきた意味がなくなる」という決まり文句です。100%とは言いませんが、少し誇張した営業トークであることを頭の片隅に置いて聞き流しながら、「本当に行かせるべきかどうか」は親子で話し合って決めましょう。
また、参加する・しない、どちらにせよ一度決めたからには、「やっぱり行かせればよかった」「家庭学習にすればよかった」と後でモヤモヤするのはやめましょう。選ばなかった選択肢が正解のように見えるのは、どちらの立場でも同じです。後悔するのは時間がもったいないので、親子で決めた判断を信じて「正解だった」と思える努力をしていきましょう。
公立中高一貫校対策は情報も少なく閉鎖的なので、つい「自分は情報不足ではないか…」「みんなはもっといい選択をしているのではないか…」と思い込みやすいものです。保護者の方の不安はお子さんに伝わるので、「わが家はこうする!」と決めたことは(内心では不安があったとしても)自信を持って貫く姿勢を見せてあげてください。特に通塾していて参加しないと決めた場合、お子さんが板挟みになるケースもあります(不参加と伝えているのに、講師から直接お子さんに参加を促す場合も)。お子さんが肩身の狭い思いをしないよう、「参加しない」と決めたらハッキリとした態度でお断りしましょう。
どうしても参加に悩んだときの「判断材料」
夏合宿の価値はきっとあるだろうと思いつつも、費用を考えるとなかなか決めきれない方も多くいらっしゃいます。特に、ご夫婦で意見が分かれた場合です。一存で決められる金額ではないので、参加させるべきかどうかという議論から大きな夫婦喧嘩に発展するご家庭もあるほどです。
このとき、判断材料の1つとしたいのは「同じ時間かそれ以上、家庭学習できるかどうか」です。仮に、夏合宿に通った場合と同じ時間、もしくはそれ以上しっかり勉強に取り組むことができ、そのフォロー(進捗確認や添削など)をできるのであれば、無理に参加しなくても家庭学習で十分効果が上げられます。公立中高一貫校を受検する子はあまり周りに影響を受けず淡々と進めるタイプも多いので、性格的に合宿という特殊な環境より家庭学習のほうが向いている子も確かにいます。
しかし、たとえば保護者の方がお仕事をなさっていて昼間つきっきりで見ることが難しい場合や、下のお子さんも夏休みでおうちにいらっしゃる場合、反抗期によって保護者の方が関わる時間が長いと親子喧嘩が起こりやすい場合は、塾にまかせたほうがお互いストレスがありません。家庭環境や性格を総合的に判断できるのは保護者の方だけなので、塾からの勧誘やプレッシャーに心揺らされずに、冷静にメリット・デメリットを並べて判断してください。
新型コロナウイルス感染症の拡大により、2020年は合宿が中止になった塾もありましたが、2021年からはその損失を取り戻すかのように、「GW合宿」「夏前合宿」「通い合宿(つまり日帰り)」「オンライン合宿(つまり家庭学習)」と塾業界も必死で単価の高いイベントを用意して勧誘しています。言われるがまま参加するのではなく、いまのお子さんの現状と、お子さんの要望、それからご家庭のフォロー体制など様々な条件を照らし合わせながら、必要・不必要をご家族で話し合うようにしてくださいね。
【ポイント】
高額な夏期合宿だからこそ、情報に流されずに家族でしっかりと話し合おう。そして、ご家庭の決断を最後まで貫こう。
ケイティ(窪田 亜実)
公立中高一貫校合格アドバイザー