ニュースなどで「為替レートの変動による円安」という言葉を耳にする機会は多いです。しかし「どんな意味?」「勉強したはずなのに覚えていない…」など、どのような意味か理解しきれていないという方もいるのではないでしょうか?
そこでこの記事では、改めて「円安とは何か」に触れ、円安が起こる原因や及ぼす影響を解説していきます。
1. 円高・円安とは?
基本的に、円高・円安という言葉は、日本円と海外通貨を比較する際に使用する言葉です。
この章では、円高・円安の違い、それぞれの意味、覚え方などを解説します。
1.1. 円高とは
円高とは、日本円の他通貨に対する相対的価値が高い状態のことを指します。つまり、日本円1単位で、現地通貨がより多く獲得できる状態のことです。
具体的な例として、ハワイ旅行で日本円を現地通貨に両替する場合を紹介します。ハワイの現地通貨はドルです。基本的な相場が1ドル100円だとして、現地での為替相場が1ドル80円だったとしましょう。
1万円を両替すると、1ドル100円の場合は100ドルの現地通貨に交換されますが、1ドル80円の場合は125ドルと交換できるのです。1万円でより多くの現地通貨を獲得できるため、この状態を「円高」と呼びます。
よって、円高とは日本円1単位でより多くの現地通貨を獲得できる、日本円の価値が上がった状態を指すのです。
1.2. 円安とは
では、円安とはどのような状態なのでしょうか?
円安とは、日本円の他通貨に対する相対的価値が、円高とは逆に、低い状態のことを指します。つまり、日本円1単位で獲得できる現地通貨が少ないのです。
具体的な例として、先ほども例に挙げたハワイ旅行での両替を紹介します。
基本的な相場が1ドル100円だとして、現地での為替相場が1ドル125円だったとしましょう。1万円を両替すると、1ドル100円の場合は100ドルの現地通貨と交換できますが、1ドル125円の場合は、80ドルにしかなりません。現地通貨を手に入れるために日本円を多く支払っているのです。
このように、獲得できる現地通貨が少ない状態を「円安」と呼びます。よって、円安とは日本円1単位で獲得できる現地通貨が少ない、日本円の価値が下がった状態を指すのです。
1.3. 円高・円安の覚え方
では、円高・円安をどのように覚えればいいのでしょうか?
「円の価値が高くなるのが円高」「円の価値が安くなるのが円安」という覚え方では、いまいち理解がしづらい方も多いでしょう。
そのため、円高・円安は以下のように考えると覚えやすいです。
・ドルが下降したら円高
・ドルが上昇したら円安
ドルが下降したのか上昇したのかを確認するだけで、円高になったのか円安になったのかを簡単に把握できます。
具体的に示すと、1ドル100円から99円に下降した場合は「1ドルに相当する円の額が下降したから円高」、1ドル100円から101円に上昇した場合は「1ドルに相当する円の額が上昇したから円安」と考えられるので、覚えやすいでしょう。
2. 円高が及ぼす経済への影響
ここまで、円高・円安の意味や覚え方について説明してきましたが、実際に円高となった場合に、経済にどのような影響があるのか解説します。
2.1. 外貨(為替差損)への影響
まずは、外貨預金をしている場合に円高となったらどうなるのかを解説していきます。
外貨預金をしている場合、円高になると両替の際に為替差損が発生します。為替差損とは、為替レートの変動で減ったお金のことです。預けたときよりも外貨の価値が下がっているため、日本円に換金する際に損をしてしまいます。換金する際には、為替手数料や税金なども発生するため、これらを考慮する必要もあります。
よって、外貨預金をしている場合は円高により損をしてしまうため、日本円に両替するのはあまりおすすめできません。
2.2. 日本の生活への影響
では、私たちの生活にはどのような影響があるのでしょうか。
円高の場合は、輸入商品の価値が下がったり、海外旅行でお得に買い物ができたりします。輸入品の仕入れ値が安く済むため、輸入品の価格が値下がりし、日本国内で買おうとした際にも円高の恩恵を受けられます。
また海外旅行でも、日本円の価値が上がっているため、現地通貨が多く手に入り、円高の場合はより多くの買い物ができてお得です。
2.3. 国内企業への影響
最後に、日本経済にはどのような影響があるのでしょうか?
円高になると、円高がメリットになる企業、デメリットになる企業があります。
まず、メリットになる企業は、輸入をメインにしている企業です。円高は日本円の価値が上がっている状態ですので、現地通貨をより多く獲得できます。そのため、普段より少ない日本円で、海外の商品を購入でき、輸入をメインとしている企業にとっては大きなメリットになります。また、普段より少ない日本円で現地企業を買収したり、不動産を購入したりできるため、業績拡大のチャンスでもあります。
デメリットになる企業は、輸出をメインとしている企業です。輸出は、日本経済のなかでも大きな割合を占め、自動車や産業機械といったものを輸出している企業が数多くあります。円高となった場合は、円換算での売り上げは減り、企業の損益に大きくかかわってきます。
よって、円高は、輸出をメインとしている企業にとっては大きなデメリットとなります。
3. 円安が及ぼす経済への影響
円高になると色々な影響が出るとお伝えしました。では円安になると、私たちの生活や経済にどのような影響が出てくるのでしょうか?
ここでは、円安になると出てくる経済への影響を解説していきます。
3.1. 外貨(為替差益)への影響
外貨預金をしている場合、円安になると日本円に両替する際に為替差益が発生します。為替差益とは為替レートの変動で増えたお金のことです。預けたときより日本円の価値が上がっているため、日本円に両替する際には上がった分、得をします。
たとえば、1ドル=100円で10ドル(1万円)購入していたとしましょう。円安になり1ドル=125円になると、10ドルは12,500円になり、2,500円の利益が出るということです。
ただし、為替手数料や税金なども発生するため、これらを考慮する必要はあります。
よって、外貨預金をしている場合は円安により収益が発生するため、このタイミングで日本円に両替するのはおすすめです。
3.2. 日本の生活への影響
続いて、私たちの生活にはどのような影響が出るのでしょうか?
円安の場合は、輸入商品の値段が上がり、海外旅行に行く際には割高となります。
円安の場合は輸入品の仕入れ値が高くなるため、日本国内で輸入品を買おうとした際にも価格が高騰します。
たとえば、1ドル=100円から125円になった場合に、これまで1,000円で買えた商品が1,250円に値上がりする可能性があるということです。
また、海外旅行に行っても、日本円の価値が下がっているため、両替で受け取れる現地通貨の額が少なくなってしまいます。よって、普段よりも割高な買い物になってしまう可能性があり、円安のタイミングでの海外旅行はおすすめできません。
3.3. 国内企業への影響
では、経済活動にはどのような影響が出るのでしょうか? 円安がメリットとなる企業、デメリットとなる企業があります。
まずメリットとなる企業は、輸出をメインとしている企業です。輸出をした場合の代金は現地通貨で受け取るため、日本国内で円に両替すると、円換算での売上高が増えます。企業の利益にもつながるため、輸出をメインとしている企業にとって、円安はメリットです。
一方、デメリットとなる企業は、輸入をメインとしている企業です。円安となった場合は、現地で調達する資材や商品の費用が増えて、企業の利益が減ります。よって、輸入をメインとしている企業には、円安はデメリットとなるのです。
また、円安時に企業買収などを行った場合は、会社に損失を与える可能性も出てきます。
4. 円安とは外貨に対する価値が少ないこと…原因や影響をチェック
円安とは、他の通貨に対する日本円の価値が下がることです。1ドル100円だったものが125円になったら、円安ということになります。
また、円安になるとさまざまな影響が出ます。外貨預金を日本円で引き出せる額が少なくなったり、輸入商品の購入や海外旅行が割高になったりするからです。経済への影響としては、輸出企業は円安で利益が増えますが、輸入企業は費用が増えて利益が減ってしまいます。
円安について理解しておくと、旅行時や投資、ショッピング時にも役立ちますので、改めて理解を深めておきましょう。
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