(※写真はイメージです/PIXTA)

「経済のことは神の見えざる手に任せよう」といったアダム・スミス、「貧富の拡大を防ぐため、経済は政府が管理すべき」といったマルクス。歴史を見ても、現代社会の現状を見ても、「経済格差をどこまで容認するか」というテーマが見えてきますが、明確なのは、高額所得者への一方的な課税だけでは経済の発展に支障が出かねない、ということです。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

「だれが真面目に働いたか」の判断も神様に任せよう

さて、人々が真面目に働かないことに困ったソ連は、マルクスの考え方を少し修正して「真面目に働いた者には褒美を与える」という法律を作りました。しかし、それもうまくいきませんでした。だれが真面目に働いたのか、政府が判断するわけですが、それが難しかったのです。

 

政府が「パンをたくさん作ったパン屋には褒美を与える」といったら、パン屋から「どうやって測るのか」と聞かれました。「重さと大きさで測る」と政府が答えたところ、パン屋は大きくて重たいけれど作るのが簡単な不味いパンばかり作るようになりました。国民は毎日不味いパンを食べなければならなくなったのです。

 

米国は、世界で一番アダム・スミスの教えを守っている国です。そこではパン屋は「美味しいパンを作ればたくさん売れて儲かるから、美味しいパンを作ろう」と考えるわけです。だから米国民は美味しいパンを食べられるわけですね。

 

一方、ソ連では「美味しいパンかどうか政府の役人が食べてみる」というわけにいかなかったのです。なんといってもパン屋だけではなく、すべての食料品店を評価して褒美を与える店を決めなくてはならないのですから。

 

結局、ソ連は経済がうまくいかず、共産主義で経済を運営するのをやめて、資本主義で経済を運営することになりました。

 

それまで世界は「共産主義のソ連とその仲間たち」と「資本主義の米国とその仲間たち」に分かれて「冷戦」状態にありましたが、ソ連が資本主義を採用したことで、冷戦は終結したのでした。30年ほど前のことです。

 

今回は以上です。なお、本稿は筆者の個人的見解です。また、このシリーズはわかりやすさを最優先として書いていますので、細かい所について厳密にいえば不正確だ、という場合もあり得ます。ご理解いただければ幸いです。

 

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塚崎 公義
経済評論家

 

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