PTAといえば、これまで学校や保護者には欠かせないもので、それが本当に必要かどうかなどについては考えることもありませんでした。しかし、近年、PTAに関わりたくないという保護者や教師、PTAから実害を受けた保護者も現れるようになってきました。今さら聞けないPTAの実態とは?、大塚玲子氏が著書『さよなら、理不尽PTA!』(辰巳出版)で解説します。

ダダ洩れ注意報!あなたの個人情報は流出する

■問題点4/ダダ漏れ注意「個人情報保護法令違反」

 

そもそも、なぜPTAでは「入会申込みを受けずに会員をゲットする」というアクロバティックなことをできるのか? というと、学校がもつ保護者や教職員の個人情報(名簿)を、PTAのために無断流用、あるいは無断でPTAに提供しているからです。だからPTAは、本人からの申込みがないのに「会員がいるような体裁」をつくれてしまうのです。

 

このようなやり方は、もちろん問題があります。まず、PTAは「個人情報保護法※」に違反します。2017年から改正個人情報保護法が施行され、PTAも対象事業者となったのですが、この法律では、個人情報を不正な手段で入手することを禁じています。学校から個人情報を無断提供してもらうのは適切な手段ではありません。

 

他方、名簿をPTAに無断提供する学校も、自治体の「個人情報保護条例」に違反します。公立の学校は個人情報保護法の対象ではなく、自治体の個人情報保護条例の対象なのです。条例も法律と同様に、個人情報の目的外利用や、本人の同意なく第三者に提供することを禁じています。ですから、学校がPTAという他団体に名簿を無断提供することには、問題があるのです。最近では、校長が書類送検された例もあります。

(※2023年春からは、公立の学校にも個人情報保護法が適用されます)

 

PTAは、本当は自分たちで入会申込みを集め、このときに本人から個人情報を提供してもらう必要があります。要は、一般の団体と同様のやり方をするということです。

 

なお、PTAが会員から適切に個人情報を入手していれば、非会員の情報は入手できません。つまり「誰が非会員であるか」をPTAは把握できないことになります。

 

ときどき、PTAに個人情報を提供することについて、学校が各保護者に同意をとるケースもあります。個人情報の取扱い方としては間違っていませんが、ただしこのやり方では、問題点1で指摘した「自動強制加入」の問題が残る点には、注意が必要です。

 

個人情報をPTAに提供することと、PTAに加入することは、本来全く別のことです。

※個人情報保護法 第十七条 個人情報取扱事業者は、偽りその他不正の手段により個人情報を取得してはならない。

 

この稿で取り上げたPTAの4つの問題点は、法令遵守の観点からも見過ごせません。PTA以外の、一般団体でこういったことをすれば、ニュースになりかねないでしょう。

 

PTAや学校ではよく、一般的にやってはいけないことでも「子どものためだからよい」と正当化されますが、そんなことはないはずです。子どものためだろうが、大人のためだろうが、やってはいけないことは、やってはいけないでしょう。

 

学校という場で活動するなら、子どもたちに見せて恥ずかしくない運営をしたいものです。

 

大塚玲子
ノンフィクションライター、編集者

 

 

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本連載は、大塚玲子氏の著書『さよなら、理不尽PTA!』(辰巳出版)より一部を抜粋し、再編集したものです。

さよなら、理不尽PTA!

さよなら、理不尽PTA!

大塚 玲子

辰巳出版

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