※画像はイメージです/PIXTA

国内外の往来が制限されてきたニュージーランドも、いよいよ本格的な開港となります。以前と同じ状況に戻るのはしばらく先かもしれませんが、確実に光明は見えてきました。不動産業界は活況で、住宅価格は上昇の一途をたどっています。不動産エージェントとして活躍する筆者が、現地でしか掴めない不動産事情をレポートします。※本記事は、2022年5月6日現在の情報に基づいて執筆されています。

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    コロナからの完全復活はまだ先も、見えてきた光明

    3月には1日の感染者数が2万人を超えていたニュージーランド。4月以降は感染拡大に歯止めがかかっているものの、それでも毎日8000人前後のコロナ感染が発表されています。

     

    その一方で、政府は開港を発表。詳細は管轄の省庁のウェブサイト等をご覧いただければと思いますが、観光業界はこの日を待ちわび、各種ツアーの復活を期待しています。とはいえ、いまだにニュージーランド航空の「日本―ニュージーランド便」は、週1便にとどまっています。しかし、こちらも7月からは週3便への増便が予定されています。

     

    まだ完全復活とまではいきませんが、徐々に制限は解除され、10月には完全開港が予定されています。あと少し、我慢の時期が続きますが、光明は見えてきました。

    ベテラン不動産バイヤーも痺れた、白熱のオークション

    そんななか、不動産業界は、銀行金利の上昇がネックとなり、オークションでの価格も思うように上がらないという状況にあります。

     

    しかし、人気の地区や、オークランドの住宅平均価格である、100万NZドル~120万NZドル台の物件は盛んに取引されています。オークションも競争が激しく、期待値より大幅に価格が上昇するケースも見られます。

     

    実例として、つい最近同行したオークションをご紹介しましょう。

     

    筆者のお客様は、最大予算は145万NZドルで、期待値は140万NZドル前後、運がよければ130万NZドル後半という見込み額を想定し、オークションへ向かいました。

     

    ほかの買い手候補がいなければラッキーだと思っていましたが、いざオークションになると、残念ながら、ほかに2組の買い手候補がいることが判明しました。

     

    オークション司会者であるオークショナーの物件説明後、入札が開始。開始価格は100万NZドルでしたが、しばらく3組で競り合い、半ばで1組が脱落。以後は筆者のお客様と、もうひとりの参加者の2組の争いになりました。

     

    お客様の最大予算である145万ドルまで価格が上がったとき、オークショニアは「オンザマーケット!」と叫びました。オーナーが希望する最低落札価格を越え、売却価格に達した、ということです。

     

    これが最低落札価格なら予算オーバーだと思ったところ、なんとお客様はさらに食らいついていきます。まだ予算あったのかと驚きましたが、そのままそばで数値を記録し、どこまで価格が上がるのか見守りました。

     

    お客様が手を挙げれば、相手もすかさず「もう1000ドル!」と価格を釣り上げてきます。

     

    相手は手ごわく、本気度合いがひしひしと伝わってきました。お客様の予算はいつ底を突くのかとハラハラする一方、「果たしてそこまでお金を出す価値がある物件か?」と冷静に思ってしまう自分もいます。

     

    そんななか、ついに価格は150万ドルに到達。筆者もさすがに止めようとしたところで、お客様も「限界です」と断念することになりました。

     

    久しぶりの熱戦のオークションとなりました。

     

    負けたとはいえ、我々不動産セールスマンは、久しぶりに勢いのある売買を目の当たりにして充足した気持ちになり、相手方も「高かったなぁ」という表情を見せつつ喜んでいました。家の元オーナーは、値段の釣り上げに貢献した我々に感謝し(我々は複雑ですが…)、お客様も「この家だけにかけていたわけではないので」と、あっさりしたものでした。もっとも、真意は定かでありませんが…。

     

    その後、オークションを見ていたセールスマンは「いい家を探して、また連絡します」と声をかけてくれました。

     

    そしてわずか数日後。件のセールスマンが「まだマーケットに出していないリストで、先日の物件の近くに似たような家がありますが、どうですか?」と連絡をくれました。

     

    お客様は土日の週末のオープンホームを待たずに、仕事帰りの夜に内覧を予約。その物件が気に入ったため、すぐさまオファーを出し、ついに購入が成立しました。

     

    ロケーションもよく、内装も近代的な改装済みで、落札できなかった物件と甲乙つけがたいものの、好みやお客様の生活環境からも、今回買えた家がベストだと確信しました。この家と巡り合うために負けたのかもしれないな、という気持ちです。

     

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