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相続人が重大な事件(重大な非行)を起こした場合、たとえ相続人であっても遺産を相続することはできません(=相続欠落)。どのような場合、相続欠格となるのか。その留意点とともに、みていきましょう。

相続欠格と相続廃除の違い

相続人に遺産を相続させない制度として、「相続欠格」と似たものに「相続廃除」があります。両者を混同される方が多いですが、相続欠格と相続廃除には以下のような違いがあります。

 

 

相続欠格と相続廃除の一番の違いは、被相続人の意思の有無です。相続欠格は被相続人の意思に関係なく相続権が剥奪されますが、相続廃除は被相続人の意思によって相続権が喪失されます。

 

また、相続欠格は取り消しができないものの、相続廃除は取り消すことができる点も違いとして挙げられます。

 

相続欠格にならない場合でも相続廃除で遺産を相続させないことができる

相続欠格になるほど重大な非行でなくても、被相続人を虐待または侮辱した人や素行が悪い人がいる場合は、「相続廃除」によってその相続権を失わせることができます。相続廃除には、「生前廃除」と「遺言廃除」があり、どちらも被相続人の意思を示す必要があります。

生前廃除においては、被相続人が自ら家庭裁判所に「相続廃除」を申出て、相続させないようにする手続きを行います。遺言廃除については、被相続人が自ら遺言書に廃除の旨を記載しておき、被相続人の死亡後に遺言執行者が家庭裁判所に「推定相続人廃除」の申立てを行います。

 

ただ、ご自身で生前廃除をする場合も、遺言書に記載しておく遺言廃除をする場合も、相続廃除された相続人が手続きや遺言書の無効を訴える場合もあります。確実に相続廃除を行いたい場合は、相続手続きに詳しい司法書士等の専門家に相談した方が良いでしょう。

相続欠格者が相続権を主張して争いになる場合もある

相続欠格とは、重大な非行があった相続人等に、遺産相続を認めない制度のことです。自身の利益のために、被相続人などの生命を脅かしたり、遺言について不当に干渉したりした人は、ただちに相続権を失います。

 

一方で、相続欠格者が事実を隠し、相続欠格に当たらないことを主張する可能性があります。相続欠格者が相続権を主張した場合は、他の相続人が共同で裁判所に相続人の地位を有しないことの確認を求める訴えを起こすことになります。

 

すでに争いが起こっている場合や、争いになることが心配な場合は、相続専門の弁護士に相談することをおすすめします。

 

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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