相続欠格と相続廃除の違い
相続人に遺産を相続させない制度として、「相続欠格」と似たものに「相続廃除」があります。両者を混同される方が多いですが、相続欠格と相続廃除には以下のような違いがあります。
相続欠格と相続廃除の一番の違いは、被相続人の意思の有無です。相続欠格は被相続人の意思に関係なく相続権が剥奪されますが、相続廃除は被相続人の意思によって相続権が喪失されます。
また、相続欠格は取り消しができないものの、相続廃除は取り消すことができる点も違いとして挙げられます。
相続欠格にならない場合でも相続廃除で遺産を相続させないことができる
相続欠格になるほど重大な非行でなくても、被相続人を虐待または侮辱した人や素行が悪い人がいる場合は、「相続廃除」によってその相続権を失わせることができます。相続廃除には、「生前廃除」と「遺言廃除」があり、どちらも被相続人の意思を示す必要があります。
生前廃除においては、被相続人が自ら家庭裁判所に「相続廃除」を申出て、相続させないようにする手続きを行います。遺言廃除については、被相続人が自ら遺言書に廃除の旨を記載しておき、被相続人の死亡後に遺言執行者が家庭裁判所に「推定相続人廃除」の申立てを行います。
ただ、ご自身で生前廃除をする場合も、遺言書に記載しておく遺言廃除をする場合も、相続廃除された相続人が手続きや遺言書の無効を訴える場合もあります。確実に相続廃除を行いたい場合は、相続手続きに詳しい司法書士等の専門家に相談した方が良いでしょう。
相続欠格者が相続権を主張して争いになる場合もある
相続欠格とは、重大な非行があった相続人等に、遺産相続を認めない制度のことです。自身の利益のために、被相続人などの生命を脅かしたり、遺言について不当に干渉したりした人は、ただちに相続権を失います。
一方で、相続欠格者が事実を隠し、相続欠格に当たらないことを主張する可能性があります。相続欠格者が相続権を主張した場合は、他の相続人が共同で裁判所に相続人の地位を有しないことの確認を求める訴えを起こすことになります。
すでに争いが起こっている場合や、争いになることが心配な場合は、相続専門の弁護士に相談することをおすすめします。
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】