相続人欠落とは?「相続人の資格はく奪」の5つのケースと留意点【相続専門税理士の解説】 ※画像はイメージです/PIXTA

相続人が重大な事件(重大な非行)を起こした場合、たとえ相続人であっても遺産を相続することはできません(=相続欠落)。どのような場合、相続欠格となるのか。その留意点とともに、みていきましょう。

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そもそも「相続欠格」とは?

 

相続欠格(そうぞくけっかく)とは、相続人等が民法で定められた「重大な非行」を行った場合、ただちに相続する権利を失う制度のことを指します。

 

相続欠格に被相続人の意思は関係ありませんし、家庭裁判所などに申立てをする必要もありません。なお、相続欠格に該当するか否かは、死亡した被相続人ごとに判定します。

 

たとえば、相続人である子供が、被相続人である父親を殺害したとしましょう。この場合、父親の相続において子供は相続欠格になり、母親のみが父親の遺産を相続することとなります。しかし、母親の相続では子供は相続欠格には該当しないため、子供は相続人として母親の遺産を相続できます。

 

相続欠格事由とは「重大な非行」のことで、民法第891条において以下のように定められています。

 

民法第891条(相続人の欠格事由)次に掲げる者は、相続人となることができない。

①故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者

②被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった

③詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者

④詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者

⑤相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

 

相続欠格になる5つの事由には、それぞれ細やかな条件などが定められています。

 

「①被相続人や先順位・同順位の相続人の殺害など」については、実刑に処せられることが相続欠格の条件になりますが、刑の執行が猶予されてその期間を満了した場合や、故意ではなく過失致死の場合は、相続欠格事由には該当しません。

 

「②被相続人が殺害されたことの黙認」については、未成年者であったなど告訴や告発をするべきことを判断できない場合、殺害した人が自身の配偶者や直系血族であった場合、すでに殺害が発覚して捜査が始まっている場合は、相続欠格にはなりません。

 

「⑤遺言書に関する不当な関与」については、方式の不備などで法的に無効である遺言書を偽造しても、相続欠格事由には該当しません。

 

今まで相続欠格事由にならなかった事例

実務上、相続欠格事由として特に多いのは「遺言書に関する不当な関与」です。しかし、過去の判例では、以下のような場合は「相続欠格には当たらない」と判断されています。

 

判例①最高裁平成9年1月28日判決

相続人が遺言書を破棄または隠匿した場合において、その行為が相続に関して不当な利益を目的とするものでなかったときは相続欠格には当たらない。

 

判例②最高裁昭和56年4月3日判決(反対意見あり)

方式の不備があった遺言書を相続人が方式を満たすように訂正した場合において、その行為が遺言者の意思を実現させるために形式を整えるだけの目的であったときは相続欠格には当たらない。

 

判例③最高裁平成6年12月16日判決

公正証書遺言の正本の保管を託された相続人が遺産分割協議の成立まで相続人の一人に遺言書の存在と内容を告げなかった。ただし、他の相続人は遺言書の存在を知っていたことから、遺言書の発見を妨げるものとはいえず隠匿には当たらない。

 

つまり、これらの実例は、遺言書に関する「不当な関与」ではないため、相続欠格には該当しないのです。

 

相続欠格は宥恕ゆうじょで取り消された事例もある

相続欠格は、5つの欠格事由のいずれかに当てはまれば、ただちに相続権を失う厳しい規定です。しかし、被相続人が生前に宥恕、つまり寛大な心で許すことで、相続が認められる可能性もあります。

 

過去の判例(広島家裁呉支部平成22年10月5日審判)では、言い争いの末に弟を殺害した子について、被相続人である父が生前に宥恕していたとして、相続欠格者に相続を認めた実例があります。

 

ただし、相続欠格者の宥恕が認められるかどうかについては、識者の間でも意見が分かれています。今後同様の事例があったとしても、一律に判断されるのではなく、個々の事情に基づいて判断されると考えられます。

 

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税理士法人チェスター http://chester-tax.com

著者紹介

連載専門の税理士が解説~すぐに役立つ「相続税対策」実践講座

本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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