日本のライブ・エンタメ事業はコロナ禍で大打撃を受け、市場規模は一時8割以上落ち込みました(ぴあ総合研究所より)。こうした状況に国ではさまざまな支援策を講じており、経済産業省の「J-LOD(ジェイ・ロッド)補助金」はそのひとつです。本補助金はどのような目的で創設され、また、日本のライブ・エンタメ業界にどのような効果をもたらしているのか……今回、補助金を担保につなぎ融資を提供するTranzax株式会社の代表取締役社長、大塚博之氏が、J-LOD補助金を担当する経済産業省コンテンツ産業課の高木美香課長、羽鳥博之係長に話を伺います。
ライブ・エンタメ業界の「今後の見通し」は
大塚 オミクロン株やその変異種(BA.2株)の広がりなど、コロナの感染状況はまだ予断を許しませんが、今後のライブ・エンタメ業界の先行きについてはどうみていらっしゃいますか。
高木 これまで、感染状況が落ち着いて公演が再開できるかなと思ったら、また感染が広がって中止になるということを繰り返してきました。今度こそ、落ち着いてくれることを私たちも願っています。
同時に、イベントにおける感染対策の実績が積み重なってきており、大きいホールであれば換気も十分ですし、映画館などではみなさん前を向いて座っているだけです。ほとんどクラスターが起きていないことを踏まえ、3月21日にまん延防止等重点措置が終わる際、政府から「感染防止安全計画を策定し、都道府県による確認を受けた場合、人数上限は収容定員まで、収容率の上限を100%とすることを基本とする」と発表しています。
当初、「欧米に比べて日本の文化芸術支援は不足している」という声もあったようですが、決して劣っているとは考えていません。これまで経済産業省と文化庁を通じた文化芸術支援は約5,000億円に達します。
どの業界も同じでしょうが、とりわけ文化芸術の分野ではこれまで築き上げられたものが一度失われた場合、また復活させるのは非常に大変です。先行き不透明な時代だからこそ文化芸術の力が求められていると思いますし、そこには少しはお役に立てたかなと考えています。
大塚 これまでの公的支援が支えとなり、ライブ・エンタメ業界をはじめ日本の文化芸術産業が世界へ大きく羽ばたいていくことを願っています。
高木 美香
経済産業省
コンテンツ産業課長
羽鳥 博之
経済産業省
コンテンツ産業課 係長
大塚 博之
Tranzax株式会社
代表取締役社長
経済産業省
コンテンツ産業課長
東京大学経済学部、スタンフォード大学MBA/MA in Education卒
2002年に経済産業省入省。2008年から2012年にかけて、「クール・ジャパン」の海外発信や、コンテンツ・デザイン・ファッションに代表される「クリエイティブ産業」育成施策の立ち上げおよび推進に携わる。その後は、新興国向けの通商政策や国際標準化政策等の「国際ルール形成」施策を担当し、2018年から現職。創造性を活かした新しい未来づくりがライフワーク。
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連載事業再構築補助金申請会社の社長必見!資金繰りに悩まない補助金活用の新スキーム「POファイナンス」
Tranzax株式会社
代表取締役社長
大阪府立大学工学部経営工学科卒業後、野村證券㈱入社。投資銀行部門に長く従事し、金融機関や事業会社のファイナンス、M&A、IPOなどを数多く手掛ける。野村アセットマネジメント㈱および野村證券㈱の執行役員を経て、2018年9月Tranzax㈱入社。2018年12月より代表取締役社長。DXの時代のなか、電子記録債権を活用した新たなファイナンス機会を提供し、日本の中小企業支援において顧客企業から最も頼られる存在を目指す。
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