(※写真はイメージです/PIXTA)

会社四季報の中から株価がグンと上がりそうな有望企業を見つけるには、どうすればよいのでしょうか? 渡部清二氏の著書『会社四季報の達人が教える 誰も知らない超優良企業』(SBクリエイティブ)より、有望株の一つ、「中小型成長株」の見つけ方について解説します。

テンバガー候補を見つける3つの条件

リンチさんは当時、1400もの銘柄に投資していたといわれます。

 

「そんなに!?」「多すぎる!」と感じる人もいるでしょうが、ポイントは投資先を分散することです。仮に10社に均等に投資した場合、そのうちの9社の株が値下がりしたとしても、残り1社の株が10倍になれば損はしません。

 

また、保有株がたくさんあれば、そのうちの1~2社が倒産したとしても、投資額全体に対する影響は小さくなります。10社のうち1社が倒産し、株価が0円になったとしても、全体に与える影響はマイナス10%。残り9社のどれかがテンバガー株になれば、損失を埋められるどころか、収支は大きくプラスになります。中小型成長株の投資ではここがポイントです。

 

テンバガーの可能性がある株を探してとりあえず買ってみる。1つの銘柄に資金を集中させるのではなく、複数の銘柄に幅広く目を向けながら、ちょっとずつ買ってみる。こうして、テンバガー株の候補数を増やしていくと、資産全体のリスクを抑えたポートフォリオ(複数銘柄のパッケージ)ができます。

 

現実的には、リンチさんのように1400もの銘柄を買うのは難しいでしょうが、20社くらいには分散できるかもしれません。そのためにも、テンバガー(10倍)とまではいわないまでも、ツーバガー(2倍)、スリーバガー(3倍)くらいを狙える中小型成長株を1つでも多く探し出さなくてはいけません。

 

では、リンチさんはどうやってテンバガー株を見つけたのか。

 

リンチさんは、「中小型株と業績回復株を買いなさい」と提言しています。この2タイプの株に目を向けることが、大きなリターンをつかむ第一歩ということです。

 

本連載では、成長力があり、テンバガーも夢ではない中小型成長株を見つける条件として、以下の3点に注目します。

 

①中小型株

②成長性

③オーナー企業

 

【時価総額300億円以下を探す】

中小型株は、売上、利益、従業員数、拠点数などではなく、時価総額で判断します。時価総額は企業価値ともいわれ、発行済み株式の数と株価を掛けて算出します。

 

たとえば、発行済み株式数が3000万株であれば、株価1000円で時価総額300億円。1000円の株価が2000円になればツーバガー、3000円になればスリーバガー、1万円になればテンバガーです。

 

時価総額が小さいほど、何倍にもなる可能性があります。ただ、その点にこだわりすぎると企業の選択肢が狭くなります。小さいほど大化けの可能性はありますが、本連載では、時価総額300億円を基準に探すこととします。

 

【前期からの増収率20%以上を探す】

中小型株を見つける条件の2つ目は企業の成長率。成長率の高さは、「増収率」で判断します。増収率は、売上が前期と比べてどれくらい増加しているかを表します。

 

四季報には、各年度の売上額は載っていますが、前期と比較した増収率(減収率)は記載されていません。そこで、増収率を電卓で計算します。Jブロックに記載されている【業績】の数字を使います。

 

増収率について、東証の上場企業全体を見ると、今期の平均は8.8%、来期は3.4%(四季報の3ページで確認できます)。これを踏まえると、前期からの増収率が20%もあれば、その会社は十分に成長力があるといえます。増収率20%が4年続けば、4年後その会社の売上は約2倍になります。

 

本連載では、それくらい大きな成長力をもつ企業を探すために、前期・今期の増収率が20%以上、今期・来期の増収率(予想)15%を基準に探します。

 

【オーナーが大株主3位以内にいるか?】

オーナー企業であることも中小型成長株の重要な条件です。

 

オーナー企業は、創業者や社長が会社を所有し、経営権をもっているのが強みです。経営の意思決定を自分でできるため、時代の変化に迅速に対応できます。

 

成長力を高め、速いスピードで規模や事業を拡大していくためには、これが重要なポイントとなります。実際、過去のテンバガー銘柄を分析してみても、8割ほどがオーナー企業か、それに近い企業でした。

 

その背景を踏まえて、本連載では、創業者、創業者の家族、家族の資産管理会社などが、大株主の3位までに入っている企業をオーナー企業、またはそれに近い企業とします。

 

 

以上の3つが中小型成長株の条件です。

 

これらの条件に合う企業を四季報から探していくと、どのような銘柄が浮かび上がってくるのでしょうか? 次回は筆者が探し出した「中小型成長株」の実例を解説します。

 

 

渡部 清二

複眼経済塾 代表取締役塾長

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

■恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ

 

■入所一時金が1000万円を超える…「介護破産」の闇を知る

 

■47都道府県「NHK受信料不払いランキング」東京・大阪・沖縄がワーストを爆走

 

※本連載は、渡部清二氏の著書『会社四季報の達人が教える 誰も知らない超優良企業』(SBクリエイティブ)より一部を抜粋・再編集したものです。

会社四季報の達人が教える 誰も知らない超優良企業

会社四季報の達人が教える 誰も知らない超優良企業

渡部 清二

SBクリエイティブ

難しいことは一切ナシ! 25年間以上『会社四季報』の全号・全ページを完全読破してきた“会社四季報の達人”が、超優良企業を見つける≪超・簡単メソッド≫を伝授!

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧