他国との取引を禁止する「禁輸」
■「その措置で誰が得をするのか?」を考えてみよう
禁輸とは、外国との貿易を禁止することだ。禁輸はたいていの場合、対象の国を何らかの理由で罰するために行われる。わかりやすい事例を挙げよう。「キューバ危機」をきっかけとした、アメリカからキューバへの禁輸措置だ。
1950年代後半のキューバ革命で共産主義政権が樹立され、さらに1962年にキューバにソ連の核ミサイル基地が建設されたことに端を発するキューバ危機が発生すると、アメリカはキューバとの貿易をすべて禁止する禁輸措置を発動した。すべて遠い昔の出来事のように感じるかもしれないが、アメリカ政府は現在も禁輸措置を続けている(※2)。
ここでもまた、禁輸措置が行われる理由を理解するには、その措置で得をするのは誰かということを考える必要がある。
※2 オバマ政権によって一部緩和されたが、トランプ政権で再び規制が強化された。
デーヴィッド・A・メイヤー
ウィンストン・チャーチル高校 AP経済学教師
桜田 直美
翻訳家