お金が増えるのは④だけ?数年後を見てみると…
数年後を見てみると、「現状維持が①、お金が減ったのが②と③、そしてお金が増えたのが④」というのが典型的です。
ちなみに③でもお金が増えることはあります。といっても、それは「たまたま投資を始めたのがリーマンショックなどのXXXショックの直後で、タイミングが良く、かつ、その後コロコロ投資商品を乗り換えなかった」ケースでしょう。
せっかく投資タイミングは良くても、証券会社に言われるまま「10%儲かったので、すぐ売却し、次の投資商品に乗り換え」というような投資行動を取ったばかりに、結果的には儲かっていないということも多々あります。
もっとも今までちょっと儲かっていたとしても、ロシアのウクライナ侵攻により現在は損、もしくはトントンになった方がほとんどでしょう。
自ら勉強しながら、時に専門家や詳しい人に意見を聞きつつ、考えて投資をしてきた方はそこまで損をしていません。
では、①~④についてよくある例を見ていきましょう。
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①「10年で9,000円の利息がついた…」
普通預金の金利が0.001%、定期で0.002%です。5,000万円を10年複利で定期預金をした場合、50,009,000円となります。お金が減るよりはベターですが、ほぼ現状維持です。
②「10年後、3,000万円になりました……」
ちょっと派手にお金を使い過ぎたようです。
他にも、親の相続財産を使って新しいマンションに引っ越したというようなケースも多いですが、収益を生み出さない自宅に相続財産を替えてしまうことになりますので『機会損失』と言えるでしょう。
③「2012年から、証券会社の言われるままに投資をスタート」
色々な先へ投資をして儲かったり損したり、紆余曲折ありながらも2021年までは良かったのですが、結局のところお金はそれほど増えていません。含み損は数百万円あります。2021年は儲かったのですが、結局、ロシアのウクライナ侵攻で大きく含み損を抱えてしまい、収支は損となっています。今は、証券会社にいわれるままに2021年後半に投資したハイパーグロース株がどうなるか毎日冷や冷やしています。
ちなみに私は株・債券・デリバティブ・為替・不動産・太陽光への投資経験が20年以上ある、「投資大好き人間」です。そんな私の元に、以前、銀行から勧誘の電話がかかってきました。試しに支店に話を聞きに行ったことがあります。
結局銀行経由で購入はしていませんが、根負けしそうにはなりました。3時間に渡って銀行員や保険会社の出向者、証券会社の出向者から入れ代わり立ち代わり、証券・保険などの金融商品について投資を勧められたからです。
投資についてよくわからない初心者の方が、長時間熱心に薦められたら、良く考えずに投資商品を購入してしまうのも無理はありません。
④「5,000万円を米株、日本株、中国株の投資信託に分け、10年後にはほぼ倍に」
この方は、相続が発生して、その資産で投資を始めたのが2011年と、投資タイミングが良かったのかもしれません。金融機関の言うことはあくまで参考程度にし、自ら考えて投資をおこなっていたのが成功の秘訣だったと言えそうです。
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親が遺してくれた資産の使い道によって、富裕層になれるかどうかが決まります。降ってわいたような資産ではありますが、よく考えられた方が良いでしょう。
5,000万円は4%の複利であれば18年後には1.01億円と倍になります。7%の複利であれば10年で約1億円になります。
運用が上手くいけば、本業の給料は生活費に回して、運用益のみで雪だるま式にお金を増やすことができます。そんなせっかくのチャンスが来ているのに、外車を買った、マンションを買い替えた、全額貯金だ――……ではそこからお金を生み出すことはありません。現状維持にしかならないのです。
そしてある程度の目標、ある程度の年齢に達したら、積極運用からローリスク・ローリターンな運用に移し、資産をまた次代へ遺すことをおすすめします。