タワーマンション(以下、タワマン)へのイメージは、日本のタワマン第1号と言われている「与野ハウス」(埼玉県さいたま市。旧与野市)が誕生した1976年から現在に至るまで、徐々にその光と影のコントラストが増してきたように思います。最大の弱点である「災害」のリスクが高い一方で、人気エリアとして不動産価値の高い「江東区・豊洲」をクローズアップし、タワマンの未来図を紐解きましょう。

90年代にブランド化し、00年代にリスクが表面化

タワマンは90年代後半に首都圏近郊で建設ラッシュが起こりました。それまでは日照権や敷地面積確保などの課題により、都心部にタワマンを建てることは難儀でした。しかし、1997年に建築基準法が改正され、日影規制の緩和や、共用部分が容積率算出上の延床面積に算入されなくなったことなどが要因となり、晴れて首都圏でもタワマンの建設が可能となったのです。

 

もともとのラグジュアリーなイメージに加え、「都心」「流行」という価値のついたタワマンは、不動産投資物件としても非常に高い人気を集めていきました。

 

ですが、2011年の東日本大震災をきっかけに、国民の防災意識とともに高層建築物の最大の弱点である「揺れ」に対する懸念が高まりました。しかし、災害に弱いことが予想される埋め立て地に建てられ、有事には浸水や地盤の液状化という、憂慮が幾重にも重なるにもかかわらず、人気のタワーマンションエリアがあります。それが「江東区・豊洲」です。

 

現在も湾岸エリアのタワマンは依然として人気があり、2021年の11月下旬に販売が再開された「晴海フラッグ」(中央区・晴海)は、2021年の夏季に開催された東京オリンピック・パラリンピックの五輪選手村として活用され注目を集めたのをきっかけに、登録申込者数がうなぎのぼりに上がりました。

 

しかし、2022年3月16日に速報値でマグニチュード7.3を記録する福島県沖地震が起き、再び国民の防災意識は高まりました。

 

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