国の報告書に記された「不足分 33,269円」が…
総務省『家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)Ⅱ 総世帯及び単身世帯の家計収支』では、二人以上の世帯および単身世帯の家計収支の状況について詳細が記されています。
65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)について見ていくと、1ヵ月あたり実収入は256,660円、消費支出は224,390円となっています。実収入の85.7%は社会保障給付。表の右側に目を向けると「黒字 1,111円」と記されています。支出を収入が上回るという結果です[図表1]。
しかし「夫65歳以上・妻60歳以上の二人世帯」を対象とした2019年の調査の結果は[図表2]の通りです。こちらの表の右側には「不足分 33,269円」と残酷な現実が黒々と記されていました。
コロナ禍を原因としたのか、消費額に減少がみられたとはいえ、たった1年で「月に3万円以上の赤字」から「黒字」に転じるものでしょうか。
調査対象を「夫65歳以上・妻60歳以上の二人世帯」から「65歳以上の夫婦」へ変えたことにはなにか意図があるのかもしれません。
[図表1]と[図表2]を見比べると、支出が15,000円ほど減少したことに加え、収入も約20,000円上昇していることがわかります。社会保障給付以外の収入が増えていることから、定年引き上げにより収入を得る65歳以上の世帯が増加していることも考えられますが、やはり、“1年で起きた変化”と言うには大きすぎるでしょう。
[図表3]から、75歳以上で黒字率が上がることは一目瞭然です。調査対象の年齢を上げることで黒字率を引き上げて見せることが可能でしょう。
それ以下の世代は「不足分」が生じることを念頭に、老後へ向けた資産形成は必須といえそうです。
厚生労働省が運営する『いっしょに検証!公的年金 〜財政検証結果から読み解く年金の将来〜』では、「おおよその年金額を知りたいときはどうしたらいいんだ?」という質問に対して、次のような金額が例としてあげられていました。