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「日本の残業時間」8年間の推移
オープンワーク株式会社は、OpenWorkに集まったワーキングデータを元に「『日本の残業時間』四半期速報」2022年1-3月集計を発表しました。まずはその結果をみていきましょう[図表1]。
2022年1-3月の集計では、平均残業時間24.66時間/月となりました。
業種別では、「メディカル」が3時間以上増加して16.99時間/月、「インフラ、運輸」が1時間以上増加して21.08時間/月。「行政機関、行政機関、社団法人、学校法人」は3時間以上減少し24.46時間/月、「マスコミ」は34.63時間/月、「不動産・建設」は34.41時間/月でわずかに減少しました[図表2]。
先月、違法残業を理由としたアクセンチュアの書類送検がニュースとなりましたが、残業時間が最長であったのはコンサルティング業界。次いで、全四半期から減少したとはいえ、一般的に激務なイメージのある「マスコミ」「IT・通信・インターネット」の残業時間が長いという結果です。
医療系の職種で、残業時間が全四半期と比べ大幅に伸びたことには、今年1月からの新型コロナ第6波が影響しているでしょう。
「残業が規制されて、給料が…」働き方改革の内容
調査結果をみる限り、2014年から減少傾向にある残業時間。プライベートの時間が増える一方で、「これまで残業代で稼いでいたのに、規制されて以来思うように給料を貰えなくなった」といった声もよく聞かれます。
そのほか、見かけ上の残業時間が減っているだけで「自宅への業務の持ち帰りや、サービス残業が増加してしまう」という指摘も。
「月々の上限時間を超えてしまった分の残業は、次の月につける」といった行為も一部の企業ではごく普通におこなわれているようです。
こうした流れには、まず2018年6月に成立した働き方改革法が大きく影響しています。
厚生労働省の「働き方改革 特設サイト」を見ると、時間外労働の上限規制について、「残業時間の上限は、原則として月45時間・年360時間とし、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできません」と大きく表示されています。
臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、「年720時間以内・複数月平均80時間以内・月100時間未満」を超えることはできず、違反した場合「6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金」」が科せられる可能性があります。また、月45時間を超えることができるのは、年間6ヵ月までです。
ちなみに月45時間・年360時間という上限は、改正前にも厚生労働大臣告示(1998年)により定められていました。しかし法律上の制限は存在していなかったため、超えたとしても行政指導がおこなわれるのみだったのです。
働き方改革法は、大企業では2019年4月、中小企業では2020年4月より施行されています。中小企業に該当するかどうかは、[図表3]の基準によって判断されます。
また例外として、「建設事業・自動車運転の業務・医師・鹿児島県及び沖縄県における砂糖製造業」については上限規制の適用が5年間(2024年3月31日まで)猶予されています。