(※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供するデイリーマーケットレポートを転載したものです。

米CPI上昇率は加速

<エネルギー価格高騰が押し上げ>

■米労働省が発表した3月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比+8.5%と1981年12月(同+8.9%)以来40年ぶりの高い上昇率となりました。前月比も+1.2%と2月の同+0.8%より加速しました。こちらは2005年9月(同+1.4%)以来の伸びとなりました。ウクライナ情勢の緊迫化による原油価格の高騰等が背景と思われます。

 

 

 

■3月はガソリン価格が大幅に上昇するなど、原油価格等エネルギー価格の高騰がインフレを押し上げました。エネルギー・財は前年同月比+48.3%、前月比で+18.1%と大幅な上昇率となりました。エネルギー・財だけでCPI全体の前月比上昇率の58%を占めました。食品は肉類、野菜、乳製品が全般的に堅調に推移しました。

 

■食品とエネルギーを除くコアベースを見ると、3月は前月比+0.3%と2月の同+0.5%から鈍化しました。上昇率が鈍化した背景は、財のうち中古車が同▲3.8%と2月の同▲0.2%から下落率がさらに加速したことが主な要因です。中古車の価格は自動車の生産制約などを受けた自動車全体の不足感から上昇していました。

 

■一方、サービスは同+0.6%と高めで推移しています。内訳を見ると、家賃が同+0.5%であるのに対して、ホテル等が同+3.7%と伸びが加速しました。また、航空運賃が同+10.7%と大幅な上昇となりました。新型コロナウイルスのオミクロン型が収束に向かい、再び経済活動が活発化したためと考えられます。

不安定な価格形成が続く

<長期金利が低下し、株価が下落>

■12日の債券市場では、3月のCPI発表を受け、米10年国債利回りが前日の2.78%から2.73%へ低下しました。

 

■一方、株式市場は、CPIが事前予想よりも若干上振れたものの、コアCPIが逆に事前予想を下回ったことから過度のインフレ懸念が後退したとして、一旦反発しました。しかし、WTI原油先物価格が再び100ドルを超えたことでインフレ懸念が意識されたことや、プーチン大統領がウクライナ侵攻を正当化し、攻撃の継続を表明したことなどが嫌気され、株式市場は主要3指数が揃って下落しました。

 

加速する中立化に立ち向かう金融市場

■インフレに対する懸念がひとまず落ち着いたことで利上げ期待も若干ながら低下しました。ただ、自動車の生産はまだ本格化しておらず、在庫も限られているため中古車価格の下落がいつまで続くかは不透明です。食品価格も一段と上昇しており、外食などへ影響すると見られます。

 

 

■今回、米国のCPI上昇は、ロシアのウクライナ侵攻を受けた原油価格の急騰が背景にあると思われます。加えて、プーチン大統領の発言からはロシアのウクライナへの侵攻は激化し、長期化する懸念が垣間見られ、原油価格は高止まりする可能性が高まっています。インフレに対する懸念が一段と強まったことにより、5月の連邦公開市場委員会(FOMC)で連邦準備制度理事会(FRB)が0.5%の利上げに踏み切る可能性は高まったと考えられます。ちなみに弊社では、5月、6月にそれぞれ0.5%の利上げを予想しています。

 

■さらに、ブレイナードFRB理事がバランスシートの縮小は早ければ5月に決定し、6月から実施される可能性を示唆しました。利上げとバランスシート縮小の複合的な効果により、政策スタンスが速やかに中立的なものになる、としました。今後、金融政策の中立化はかなりのスピードで進むと思われます。金融市場の耐性が問われる展開となりそうです。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『3月の「米CPI」は40年ぶりの高い上昇率【専門家が解説】』を参照)。

 

(2022年4月13日)

 

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