「相続税申告」の「遺産分割協議」における影響は?
納税者に対する影響:メリットになる
相続申告において、遺産分割協議が必要な場合、未成年者がいると法律行為が制限されます。そのため、未成年者が直接遺産分割協議を行うことが出来ず、家庭裁判所に申請を行って、特別代理人という代理人の選任を行わなくてはいけませんでした。
今回の改正によって、2022年4月1日以降であればその時点で18歳以上の方は代理人をつけずに協議を行うことができます。
実務的な話をしますと、家庭裁判所への特別代理人の申請は結構な手間や負担となります。
大まかな流れとしては、相続税の申告期限である10ヵ月という限られた時間の中で、特別代理人の申請を行うには、家庭裁判所への申請書と関係書類を整備して申請します。また、未成年者が法定相続分以上を取得するような分割内容であるかどうかを家庭裁判所がチェックする時間もかかります。
特別代理人の申請は、1~2ヵ月ほど時間がかかります。申告期限の10ヵ月の期間のうち、1~2ヵ月の期間というのは大きな割合を占めます。そのため、未成年者がいらっしゃる場合の相続税申告は通常よりもスケジュール管理を行って、申告期限までにきちんと間に合うかどうかをシビアに考えなくてはいけません。
今回の改正で、特別代理人の申請を行わなくてもいい人が増えるのは相続税申告においては納税者の方にとってはメリットになるのではないでしょうか。
「暦年贈与の贈与税申告」の「特例税率の適用」では…
納税者に対する影響:メリットになる
贈与税のうち、最も一般的な暦年贈与については今回の改正で減税になる可能性があります。暦年贈与では、祖父母や父母から20歳以上の者に対する贈与は、贈与金額によっては
「特例税率」が設けられています。
贈与税の速算表(図表)より、110万円の基礎控除後の贈与の金額が300万円超の場合、特例税率では15%、それ以外の一般税率は20%となっています。
暦年贈与の場合、少額を長期間にコツコツ渡して行うことが多く、あまり高額な金額をまとめて渡すという活用方法はそこまで多くはないと思いますが、410万円超~4,610万円以下の金額を成人したお子様・お孫様へ贈与するケースでは贈与税が安くなります。
なお、この年齢の判定は、贈与を受けた年の1月1日時点で判定を行います。そのため、その時点で18歳になっていないと特例税率の適用となりませんので、判定の時期には注意をしておきましょう。
・まとめ
成人年齢引き下げによって影響を受ける項目は結構多いです。タイミングによってどのように変更となるのか判断には注意が必要です。相続税の未成年者控除は税金が増えてしまいますが、成人年齢の引き下げによって適用範囲が増え、法律行為も行えるようになりますので、若年世代への資金移転の活性化を期待できますので今回の改正はポジティブではないでしょうか。
税理士法人ブライト相続
戸﨑 貴之
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