(※写真はイメージです/PIXTA)

新型コロナウイルス蔓延に世界中が恐怖した当初、M&A業界も大打撃を覚悟しました。ところが実際は、2021年のM&A活動は過去最高を記録しました。しかし今度は、新型コロナ以外にも世界的なリスクが複数立ちはだかっています。ロシア問題、インフレ危機、サプライチェーン等の懸念…。これらは今後のM&Aにどう影響するのでしょうか。※本記事は、Datasite日本責任者・清水洋一郎氏の書き下ろしです。

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    M&A、コロナで壊滅的との予想に反し過去最高を記録

    2020年半ば、多くの人が新型コロナウイルスはM&Aに壊滅的な影響を与えるだろうと考えていました。しかしその予想に反し、2021年はM&A活動が過去最高を記録しました。

     

    最近のDatasiteによるグローバル・ディールメーカーへの調査(「Global Dealmakers on the Hunt for Growth in 2022, Datasite Survey Finds」参照)では、いくつかのリスク、特にロシアのウクライナ侵攻とそれによる財務的影響、インフレ、ESGリスク、労働力不足、サプライチェーン問題などの懸念はあるものの、多くのトレンドは、2022年もM&A活動が上昇し続ける可能性を示唆しています。

     

    これらのリスク・懸念は、M&A活動にどのような影響を与えるのでしょうか。

    2022年に成長を求めるグローバル・ディールメーカー

    Datasiteのプラットフォームにおける、2021年の新規グローバルディリジェンスプロジェクト(発表済みだけではなく、取引開始案件も含む)は、2020年より30%高く終了したため、2022年前半はさらに大きくなる可能性があります。目標に関して言えば、世界各国のディールメーカーは成長を求めています。

     

    Datasiteの調査によると、世界各国のディールメーカーの32%が、潜在的な目標を評価する際、収益やコストよりも、オーガニック・グロースの可能性を最も重要視すると回答しています。また、特定の取引タイプでは、2021年と比較し、今年はリストラクチャリング(31%)、リファイナンスとデットファイナンス(27%)、ジョイントベンチャーとパートナーシップ(27%)が増加すると予想しています。

    新たな規制がアメリカでのディールメーキングを促進

    2020年11月に米国大統領に当選して以来、ジョー・バイデン氏の政策がM&Aの大きな推進力となっています。消費者をターゲットとした財政刺激策は経済を活性化させ、様々なセクターでディールメーキングの需要を喚起しています。

     

    米国のM&A市場を牽引してきたセクター(「Deal Drivers: Americas 2022 Outlook」参照)は、技術・メディア・通信(TMT)、金融サービス、医薬品・医療機器・バイオテクノロジー(PMB)です。

     

    一方、今年取引が失敗する可能性のある要因を見ると、米国のディールメーカーは、ESGリスク(20%)とマクロ経済要因(17%)に最も懸念を抱いていることが明らかになりました。

     

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