※画像はイメージです/PIXTA

特例の適用の有無による影響が大きい、不動産の売却による税金。今回は不動産の売却の中でも、居住用の不動産を売却して利益が出た場合の特別控除について、相続・事業承継専門の税理士法人ブライト相続の天満亮税理士が解説します。

誰に対してでもとにかく売れれば適用できるのか?

「何としても3,000万円控除を使いたいけど、なかなか3年内に売れそうもないので、とりあえず近しい人に売ってしまおう」という考えがよぎることもあるかもしれません。その辺りを考慮した要件も、存在しています。

 

「売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと」という点です。

 

「特別な関係」には、生計を一にする親族、家屋を売った後その売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます。

直近に別の特例を使っていないことも必要

売った年の前年および前々年に、「マイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けていないこと」が必要です。また、「売った年、その前年および前々年にマイホームの買換えやマイホームの交換の特例の適用を受けていないこと」や、「売った家屋や敷地等について収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと」も要件として挙がっています。

住宅ローン控除との関係は?

もともとの自宅を売却した際に3,000万円控除を使うと、新しく引っ越した自宅で住宅ローン控除を使うことができません。これは、「もともとの自宅について住宅ローン控除を使っていたら、その自宅を売却した際に3,000万円控除が使えない」、という意味ではありませんので、誤解の無いようにしてください。

 

「旧自宅を売却して3000万円控除を使い、すぐに新自宅で住宅ローン控除を使う」ということができないということです。

適用除外

マイホームを売ったときの特例は、次のような家屋には適用されません。租税回避のための行動は認められないということです。

 

(1)この特例の適用を受けることだけを目的として入居したと認められる家屋

(2)居住用家屋を新築する期間中だけ仮住まいとして使った家屋、その他一時的な目的で入居したと認められる家屋

(3)別荘などのように主として趣味、娯楽または保養のために所有する家屋

共有の場合や賃貸併用、店舗併用の場合は使えないのか?

土地や建物を誰かと共有している場合、適用されるかどうかは共有者ごとに判断されます。共有者は各々が特例を申請できるため、確定申告も1人ひとりが提出する必要があります。

 

住んでいる建物の一部を賃貸として貸し出している場合も、控除の対象となります。ただし、この場合は自分が居住のために使用していた居住用家屋の部分に限ります。建物の一部が店舗になっている場合も、控除の対象となります。賃貸併用の場合同様、適用されるのは自身の居住のために使用していた部分に限ります。

海外勤務に伴い日本国内の居住用財産を売却した場合にも使えるのか?

海外勤務により非居住者となるため、日本国内で住んでいた自宅を売却することもあると思います。その場合にも、居住用財産3,000万円控除は使えます。

 

 

税理士法人ブライト相続

税理士 天満 亮

 

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