目標とするキャッシュフローは本当に必要なのか?
目標キャッシュフローのために、多くの融資を受けたり、利回りの高い地域や物件で投資することをリスクと感じるのであれば、
(1)自己資本(E)を(段階的にでも)増やすか
(2)実現時期を先送りにするか
(3)目標キャッシュフロー(CF)を下げるか
という判断をすることになり、(1)自己資金、(2)実現時期については、これまで解説してきましたが、「そういったリスクを背負ってでもそのキャッシュフローが本当に必要なのか」ということを、そもそもの出発点に立ち戻って改めて検討することも必要です。
「毎月のキャッシュフローを100万円欲しい」という相談は多いですが、よくよく内容を聞いてみれば「キリがいいから」「なんとなく」という場合がほとんどです。
Q「自己資金は増やせますか?」
A「親からの援助などの予定もありませんから、それ以上は出せません」
Q「キャッシュフロー毎月100万円というのはなにか根拠がありますか?」
A「特に・・・働けなくなったら、そのくらい必要かなと思って」
Q「現在は、手取り収入おいくらで生活していて、いくらくらい不足していると考えていらっしゃいますか?」
A「月収は手取りで40万円程度。子供の教育費がかかるので、プラス10万円ほどあればラクだなと思います」
Q「3年後にというのは、なにか根拠がありますか?」
A「ハッピーリタイアメントをしたいと思っています」
Q「3年後はまだ40歳そこそこですが、仕事をやめたい理由はありますか?」
A「世界一周旅行に行きたいと思っていまして」
Q「それは、会社を辞めないと行けませんか?夏休みとか冬休みごとでは無理ですか?」
A「それは、行けないことはないですね」
Q「世界一周旅行をしたあとは、どうする予定ですか?」
A「特に考えていません。本を読んだり、ぶらぶらしたり・・・自由に過ごすと思います」
Q「会社で働くのは苦痛ですか?」
A「別に、嫌なわけではありません。仕事はどちらかというと楽しいです。やることがないことのほうが苦痛かもしれません」
Q「退職を先延ばしするとすれば、どのくらいですか?」
A「早期退職制度が50歳からなので、15年後でも大丈夫で」
Q「そのときは、いくらくらいの収入があれば今と同じ生活ができますか?」
A「子供は社会人になっていますし、住宅ローンもほぼ払い終わるので、今と同じ毎月40万円の収入があればかなりラクだと思います」
不動産投資は「仕組み」にすぎない
毎月100万円のキャッシュフローは毎月40万円に。実現時期は3年後から15年後に。この方が負うリスクは、かなり軽減されるであろうことはおわかりいただけると思います。
ただし、「何をしたいか」「何が欲しいか」「どうありたいか」ということは、ひとりひとり違っていて当たり前ですし、自分自身の人生ですから人にとやかく言われることでもなく、また人の真似をすることでもありません。
お金はあくまでも「手段」であって、目的ではありません。そして、不動産投資もその手段であるお金を稼ぐための「仕組み」にしかすぎません。不動産投資以外にも、より優れたほかの方法があれば、別にそちらでもいいわけです。
不動産投資をされる方の中には、手段を目的化してしまったり、さらには仕組みを目的化してしまう傾向が強い方が多いように感じます。目標と手段を明確にし、具体的・現実的に自分の求めるものを実現するためにも、不動産投資とかかわる際には、「生き方」について自分自身に問いかけ、それに必要な予算組みを立ててみることをお勧めします。