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「景気は自分で方向を変えない」…これが予測の基本
景気は自分では方向を変えません。景気が上を向いている時には売り上げが増えるので企業は生産を増やし、そのために労働者を雇います。すると雇われた元失業者が給料をもらって消費をするので、一層物(財およびサービス、以下同様)が売れるようになるからです。
したがって、景気を予測する際には「現在の景気が上を向いているのか下を向いているのか」を判断することからスタートすることになります。あとは、財政金融政策が景気の方向を変えるのか、海外経済の変調が国内景気の方向を変えるのか、を予想するわけです。
本来であれば、現状がバブルであるのか否かを検討したうえで、仮にバブルだとすれば「いつごろバブルが崩壊して、その影響がどの程度になるのか」を予想すべきなのですが、それはいずれも不可能だということで、真面目に予想している景気予想屋はほとんどいないと思います。
「政府の財政金融政策で十分か否か」…経験と勘で考察
景気が悪いときには、政府日銀が財政金融政策で景気を回復させようとします。景気予想屋としては、政府や日銀がどの程度の景気対策を採用するのか、それが消費や投資をどの程度回復させるのか、を予想することになるわけです。
政府の財政出動の規模等に関しては、マスコミの報道等から予想することになります。あとは、それがどの程度消費や投資を刺激するのか、という予想になりますが、これは理論ではなく「長年の経験と勘」に頼る部分が非常に大きくなります。
というのも、「景気は気から」といわれるように、消費や投資は消費者マインドや企業家マインドに大きく影響されるからです。公共投資については予算を見ればある程度の見当はつきますが、それでも、建設労働者として雇われた元失業者が「受け取った給料を使うのか、貯金するのか」を予想する必要はあるわけです。
減税についてはさらに困難で、消費者や企業家のマインドによっては減税分がそっくり貯金されてしまいかねず、そうなれば効果ゼロということも理屈上は起こり得るわけですから。
金融緩和に関しては、基本的に景気への影響は小さいので、あまり考慮しないのが普通です。金融緩和が美人投票的に株高やドル高をもたらして、それが景気を押し上げる可能性はありますが、美人投票を予想するのは無理ですし、株高やドル高の景気刺激効果もそれほど大きくないからです。
反対に、景気が過熱してインフレが心配な時には、緊縮財政と金融引き締めが採用されます。
まあ緊縮財政といっても、インフレ抑制のために、すでに成立している予算の執行を凍結するのは容易ではありませんし、増税はさらに困難でしょうから、金融政策についてだけ考えればいいと思います。
金融政策の景気抑制効果についても「景気は気から」ですから、経験と勘がモノをいうわけですが、なにぶんにも金融引き締めを経験している人は現役世代にはほとんどいないので、大変でしょうね。
いちばん簡単なのは「日本で一番優秀な景気予想屋が集まっているのは日銀であり、その日銀が適切だと考えた金融引き締めを行ったのだから、景気はそれほど悪化せず、インフレは抑制されるはずだ」と考えることですかね(笑)。
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