(※写真はイメージです/PIXTA)

景気が悪化すると、政府は主に減税と公共投資による回復を図ります。しかし公共投資については、バブル後にしばしばマスコミ報道された、利用されない箱モノや、だれも通らない高速道路といった「負の遺産」のイメージが強いのか、ムダだと考える人が多いようです。しかし、経済の視点から見るとそこには誤解があります。経済評論家の塚崎公義氏が平易に解説します。

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景気が悪いときは「財政出動」で景気回復を狙う

景気が悪いときは、政府は財政政策で景気回復をはかります。公共投資として政府が橋や道路を作り、建設労働者として失業者を雇う場合もありますし、減税をして民間部門が消費や投資を増やすことを期待する場合もありますが、どちらも結果として失業者が減って景気がよくなることを期待するわけです。

 

減税には2種類あります。所得減税によって消費者の懐を暖かくして消費を増やしてもらう、というものと、設備投資減税のように設備投資をした企業は税金減免というインセンティブを与えて設備投資を増やしてもらう、というものです。

 

日本では、景気対策というと公共投資が一般的ですが、米国では減税のほうが一般的なようです。しかし、下記のようにそれぞれの政策には一長一短があります。

公共投資と減税、それぞれのメリット・デメリット

公共投資のいいところは、必ず失業が減るという点です。政府自身が失業者を建設労働者として雇うわけですから当然です。加えて、雇われた元失業者が給料をもらって消費をすれば、景気は一層よくなって失業者がさらに減ることも期待されるわけです。

 

一方で、減税は失業を減らす効果はゼロかもしれません。所得減税しても、懐の暖かくなった消費者が消費を増やさずに貯金してしまえば、なにも変わりません。設備投資減税をしても、もともと設備投資をする予定だった企業だけが設備投資を実行したとすれば、やはりなにも変わりません。

 

以上を考えると、公共投資のほうが優れているようにも見えますが、反対に、公共投資の問題点もあります。それは「不要なものが作られてしまう」可能性です。

 

景気対策は不況期に急いで工事をする必要があるので、買収しやすい山奥の土地に道路を作り、結果、人も車も通らない道ができたりしかねないわけです。

 

減税であれば、所得減税にしても設備投資減税にしても、減税された人が必要だと思うものに支出するわけですから、無駄なものが作られてしまうということはありません。

 

このように、それぞれ一長一短なため、どちらの政策が優れている、ということはありません。

 

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