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景気の拡大は続き、引き締めもあるが…

地政学リスクも含め、目先、成長率や景況感は鈍化する

加えて、景気は今後とも拡大を続け、利上げも開始されるものの、短期的な景気循環を考えると、経済成長率や景況感は昨年がピークで、目先は鈍化していくとみられます。景気の鈍化は、利上げの織り込みを落ち着かせていく可能性があります。

 

たとえば、アトランタ連銀が算出する「GDPNow」によれば、2022年1-3月期の実質GDP成長率は+0.7%(前期比年率換算、2月9日時点)と予測されています。また、マーケット・エコノミストによる見通しも下方修正が続いています。

 

加えて、OECD景気先行指数やISM景気指数はすでに鈍化しています。
 

[図表4]米国のOECD景気先行指数
[図表4]米国のOECD景気先行指数

 

[図表5]ISM景気指数
[図表5]ISM景気指数

利上げ時は「短期的な景気鈍化」が始まっている可能性

ひとつ考慮すべきは、利上げが開始されるときには、短期の景気循環がピークを過ぎている場合もあることです。なぜなら、利上げは、米連邦準備制度理事会(FRB)だけでは決められないためです。

 

言い換えれば、マーケット参加者の多数の目にも明らかなほどに、景気は十分に強く、インフレ圧力も生じているときになってようやく、FRBは利上げに進むことができます。

 

景気は循環しますから、①マーケットが利上げを(しぶしぶ)認める頃が景気のピーク付近で、②FRBが利上げを決定する頃には景気はピークを過ぎていることも考えられます。

 

たとえば、前回の利上げは2015年12月から始まりますが、そのときには景況感が下がっていました。結果として、FRBは2回目の利上げを遅らせ、その後の利上げも景気の拡大をみながら、ゆっくりとしたものにしました。地政学リスクが台頭している現在もこれと似た状況かもしれません。

 

[図表6]米国のOECD景気先行指数とFRBの政策金利誘導目標
[図表6]米国のOECD景気先行指数とFRBの政策金利誘導目標


「アグレッシブな利上げか、優しい利上げか」いずれにせよ、利上げはありますから、①目先の変動性の高まりと、②次のステージへの移行に向けて、いまできることは、ポートフォリオを分散させておくことでしょう。

 

 

重見 吉徳

フィデリティ投信株式会社

マクロストラテジスト

 

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