必要な年利を逆算する
資産を運用する上で、あらかじめ計画を立ててみて、それが実現可能かどうかを考えることも必要です。例えば、「資産を年率50%で運用したい」という方がいるかもしれませんが、年率50%はまず実現不可能です。特に高配当株投資は、まずは配当をメインにした投資手法なので、うまく運用できたとしても、年率はせいぜい数%です。
そこで、毎年の積立額と最終的に得たい金額から、年率何%で運用することが必要なのかを逆算してみます。その数字が大きすぎるようであれば、計画に無理があるということなので、計画を見直します。
表計算ソフトのエクセルを使えば、計算は簡単に行うことができます。エクセルでセルに次のような式を入力します。
=RATE(年数,−積立額,0,目標額,1)
例えば、毎年30万円ずつを10年間積み立てながら運用し、最終的に500万円にするのに必要な年率は、以下の式で求めることができます。
=RATE(10,-300000,0,5000000,1)
計算結果はパーセント単位で表示されます。
図表3は、例に挙げた式を実際に入力してみた例です。この結果を見ると、毎年30万円ずつを10年間積み立てながら運用し、最終的に500万円にするには、年率9.11%で運用することが必要なことがわかります。
資産を大きく増やすには時間がかかる
図表4は、資産を増やすのに必要な年率を早見表的にまとめたものです。縦軸は、積立総額を何倍に増やしたいかを表し、横軸は積み立てる年数を表します。
例えば、毎年10万円ずつを10年間積み立てるとします。ただ積み立てるだけで運用しなければ、10万円×10年=100万円になります。ここで、最終的に200万円にしたいとすると、100万円を200万円にすることになるので、倍率は2倍になります。倍率が2の行と、年数が10の列の交差するところを見ると、12.30%となっているので、年12.30%で運用する必要があるということになります。
この図表を見ると、年数が長くなるほど資産を増やすのに必要な年率が低くて済むことがわかります。その分、無謀な投資をする必要が減り、実現する可能性が高くなることになります。
例えば、積立総額の3倍まで増やしたいとします。毎年10万円ずつ10年間積み立て、それを運用して300万円にしたいような場合です。この場合、図表4を見てみると、運用期間が5年だと年率39.18%も必要ですが、30年なら6.38%で済みます。
5年間にわたって毎年コンスタントに39.18%もの利益を上げるのは、かなり積極的な運用をしたとしても、ほぼ不可能なことです。ましてや、配当主体の投資では無理です。
一方、30年間にわたって年率6.38%の利益を上げるのも、相当高いハードルです。ただ、配当主体の投資に積極的な運用を組み合わせれば、実現できる可能性が出てきます。
このように、資産を大きく増やすには時間をかけることが必要です。若いうちから、将来を見据えた資産形成を実践していくことが大切です。
ファイナンシャルプランナー(CFP)、著述家、個人投資家
藤本 壱
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